イスラエル、親イラン勢力に砲撃 対米接近けん制

イラン緊迫
2019/9/2 17:03
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イスラエルの攻撃を受けて炎上するレバノン南部(1日)=ロイター

イスラエルの攻撃を受けて炎上するレバノン南部(1日)=ロイター

【カイロ=飛田雅則】イスラエル軍は1日、隣国レバノン南部のイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの拠点に砲撃を加えた。親イランのヒズボラがイスラエル北部に複数の対戦車ミサイルを発射したためで、近隣のイラン関連拠点への越境攻撃の一環だ。イスラエルのネタニヤフ政権はイランとの対決姿勢を明確にして17日投票の総選挙で与党への支持を高め、トランプ米政権のイラン接近をけん制する狙いだ。

ヒズボラは声明でミサイル発射を認めた。レバノン軍はイスラエルからロケット弾が約40発撃ち込まれたと表明した。報復が連鎖し、大規模な衝突に発展することが懸念されるため、レバノンのハリリ首相が地域に影響力を持つ米国、フランスなどに介入を求めたと中東の衛星テレビ、アルジャズィーラは伝えた。

今回のイスラエルとヒズボラの衝突の発端は8月25日、無人機がレバノンの首都ベイルートのヒズボラ拠点近くで爆発したことだ。ヒズボラの指導者ナスララ師は「イスラエルの攻撃だ」と非難し報復を宣言していた。

イスラエルは周辺国のイラン拠点に対する攻撃を続けている。8月25日にはシーア派が政権に大きな影響力を持つイラクで親イランの民兵組織を標的に無人機を使った攻撃があった。米紙ニューヨーク・タイムズによると、7月にはイスラエル軍がイラクにあるイラン革命防衛隊の拠点を空爆した。事実ならば、イスラエルによるイラク攻撃は1981年以来だ。

イスラエルによるイラン関連への攻撃の背景には総選挙で与党の右派陣営の票を伸ばし、首相続投を決めたいネタニヤフ氏の思惑がある。イラン核開発を巡り対立する同国と米国が最近、歩み寄りの気配を見せていることに関するネタニヤフ氏の危機感も指摘される。

フランスのマクロン大統領は9月後半の国連総会の機会に米イラン首脳会談を実現させようと調整している。だが、ネタニヤフ氏は8月30日の電話でマクロン氏に「時期が悪い」と述べ、反対する考えを明確に示した。

米国を後ろ盾としてイランと敵対してきたイスラエルは、緊張緩和で中東に対する米国の関与が低下することを危惧している。ヒズボラなど海外の親イラン武装勢力を傘下に置く革命防衛隊は米国との関係改善が進めば組織の利益が損なわれると考えているフシがある。革命防衛隊は対米不信の強い保守強硬派で、イラン元首の最高指導者ハメネイ師が直轄する。

ネタニヤフ氏は1日の式典で、イスラエルに隣接するパレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区にある「すべてのユダヤ人入植地に、イスラエルの主権を広げる」と主張した。同氏は4月の前回総選挙の前にも同様の意向を明らかにし、与党リクードを勝利に導いた。17日の投票は、4月総選挙後の連立協議失敗を受けたやり直しの総選挙だが、ネタニヤフ氏を巡る汚職疑惑もあり、与党への支持が伸び悩んでいる。

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