年金制度「持続には改善不可欠」 定年引き上げは否定 仏労働相

2019/9/1 17:31
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来日中のペニコ仏労働相は1日、松山市内で日本経済新聞の取材に応じた。マクロン政権が目指す年金制度の見直しについて「高齢化が進んでも持続可能な制度となるよう改善が必要だ」と述べた。給付減に向けた改革に向けて労組側との交渉を進める考えを示したものだ。一方、年金受給を始める定年退職年齢の引き上げには否定的な考えを示した。

ペニコ仏労働相は持続可能で公平な年金制度を構築すべきだと述べた(1日、松山市)

フランスでは高齢化と経済の低迷を背景に、年金制度がもたらす財政赤字が2022年に100億ユーロ(1兆1700億円)に膨らむ見通しで、給付減に向けた取り組みが迫られている。ペニコ氏は年金改革がフランスの反政権運動「黄色いベスト」の再燃や支持率低下に結びつくのではないかとの懸念は「全くあたらない」と否定した。

デモの背景にあるのは働く人の購買力の問題だと分析。低所得者対策に100億ユーロの追加予算を講じた結果、不満は収束したとの見方を示した。改革の柱としては、働いた期間にためたポイントに応じて支給額を算出する制度の導入や、子育てや介護のために一時退職した人が不利にならない仕組みを挙げた。

年金支給の開始年齢である定年は「現行の62歳を維持する」と明言した。フランス国内では定年を引き上げるべきだとの議論もあるが、労組の反発は強い。政府と労使関係者との間で長く働く人への支援策などを検討する方針も明らかにした。

今後の労働市場の動向については人工知能(AI)やロボットなどの技術発展に触れ「従来あった職業がなくなる可能性や、高い能力が必要な仕事と単純な仕事の格差が広がるリスクもある」と指摘した。各国で先進技術の利用に関するルール作りに取り組む必要性を訴えた。働き方の多様化に伴い「フリーランスの権利を守れるよう、新たな労働保護法規を設けるべきだ」とも語った。

日本が一定の技能を持つ外国人労働者の受け入れを拡大したことについては、ヨーロッパの移民受け入れの歴史を念頭に「受け入れ可能な規模をよく考慮し、雇用や教育を通じて、社会に完全に溶け込ませることが重要だ」と指摘した。

ペニコ氏は1日から2日まで松山市で開かれている20カ国・地域(G20)労働雇用相会合に出席するため来日した。

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