2019年9月18日(水)

イランのウラン貯蔵量、核合意を2割超過 IAEA報告

ヨーロッパ
中東・アフリカ
2019/8/31 2:13
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IAEAはイランに査察官を派遣し、監視している=AP

IAEAはイランに査察官を派遣し、監視している=AP

【ジュネーブ=細川倫太郎】国際原子力機関(IAEA)は30日まとめたイランの核合意の履行状況に関する報告書で、イランの低濃縮ウランの貯蔵量が核合意で定めた上限を2割上回ったと指摘した。米国の経済制裁に反発するイランは核開発の再開もちらつかせており、核合意は崩壊の瀬戸際に立たされている。

核合意ではイランの低濃縮ウランの貯蔵量は202.8キログラム(六フッ化ウラン換算で300キログラム)、濃縮度は3.67%までと定めている。日本経済新聞社が入手したIAEAの報告書によると、8月19日時点で貯蔵量は241.6キログラムになった。このうち25.1キログラムは濃縮度が4.5%に達しているという。

IAEAは30日、報告書を関係国に配布した。9月の理事会で討議する。IAEAが年4回まとめる報告書で核合意の逸脱が確認されたのは初めて。

イランは5月、米国の核合意離脱と経済制裁に対抗する措置として、核合意の一部履行停止を表明した。段階的に低濃縮ウランの貯蔵量などを引き上げ、IAEAは7月時点で上限を超えたことを確認していた。「核の番人」であるIAEAが正式に核合意からの逸脱を報告書で示したことで、関係各国は対応を迫られそうだ。

核兵器を製造するにはウランを90%程度まで濃縮する必要がある。現状の水準はイランが核兵器をすぐに作れるような状況ではない。ただ、20%までの濃縮ができれば工程の半分以上を終えたことになるといわれる。

イランは9月上旬に核合意の履行停止をさらに拡大する可能性があると警告している。今回の報告書ではIAEAは「イランは査察に協力し、必要な情報もIAEAに提供した」と指摘した。しかし、今後はイランが査察協力を後退させる懸念もくすぶっている。

2015年に欧米など6カ国とイランが結んだ核合意はイランが核開発の大幅な制限を受け入れ、欧米が経済制裁を緩和するのが柱だ。だが、米国は18年5月に一方的に離脱し、原油の全面禁輸などの制裁を復活させた。経済苦境に陥ったイランは核開発の再開も示唆している。

イランと米国の対立が続くなか、欧州各国は核合意を維持する手段を模索している。26日までフランスで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、議長国フランスのマクロン大統領はトランプ米大統領に対し、イランに原油の部分的な輸出を認める代わりに核合意を順守させることなどを提案。米イランの首脳会談の実現も働きかけた。ただ、有効な具体策は打てておらず、事態の打開につながるかは不透明だ。

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