大阪タクシー、初乗り690円に値上げ 客離れ広がるか

2019/8/30 20:16
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近畿運輸局は30日、10月から大阪府内のタクシーの初乗り運賃(上限)を2キロ680円から690円に引き上げると発表した。消費税率の引き上げ分のみを反映。初乗りの距離を短くし、運賃を下げて「ちょい乗り」を促す案は先送りする。法人タクシーの総収入は11年連続のマイナス。値上げで客離れが広がる可能性があり、需要の活性化策が求められる。

値上げで客離れが広がるか(梅田駅のタクシー乗り場)

10月から大阪府内を走る法人や個人を含む全タクシーの9割(台数ベース)が新運賃になる。事業者は原則初乗り650~690円の範囲で運賃を決めるが、大半が上限の690円になる見通し。増税分に運転手の待遇改善を加える値上げ案もあったが継続審査となった。値上げは消費税率が8%に上がった2014年4月から5年ぶり。

値上げでタクシー需要がさらに冷え込む可能性がある。近畿運輸局によると、17年度の大阪府の法人タクシーの総収入は1128億円と11年連続のマイナス。ピークだった1991年度と比べて5割近くに減った。会社員の利用控えなどに加え、急増するインバウンド(訪日外国人)の需要を取り切れていない。

客離れは運転手の待遇悪化につながる。17年度の大阪府の法人タクシー運転手の平均年収は346万円と大阪府の全男性労働者の590万円を大きく下回る。運転手の給与は歩合制がほとんど。利用減は給与の減少につながり、人手不足が加速する懸念がある。

大阪のタクシーは近年、サービス競争で東京に後れを取っている。東京地域(23区と武蔵野・三鷹市)は17年1月に初乗り運賃を2キロ730円から1.052キロ410円に改定した。導入2カ月で1.052キロメートル以下の利用が36%増、全体の収入も3%増えた。10月には日本交通などが配車アプリで乗車前に運賃が分かるサービスを始める。

なぜ大阪は遅れているのか。17年度の大阪の法人タクシーの1日1台当たりの売上高は3万983円と東京と比べて2万円安い。あるタクシー会社幹部は「東京に比べて収益力が低く、IT(情報技術)投資が厳しい」と打ち明ける。

かつて大阪は初乗り運賃が500円の「ワンコインタクシー」や5000円を超過した分を半額にする「55割」など独自のサービスで需要を開拓してきた。今秋のラグビーワールドカップや25年の国際博覧会(大阪・関西万博)を控え、インバウンド向けを含めたサービス向上が求められる。

(高崎雄太郎)

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