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やきとりのひびき、再建多難の道のり 粉飾や不正リース発覚

民事再生法の適用を20日に申請したやきとりチェーン運営のひびき(埼玉県川越市)の経営再建が難航しそうだ。経営破綻の主な要因として経営陣が当初説明していた人件費などの経費増大に加え、不適切な会計処理やリース契約で資金を調達していたことがわかった。再生計画案に賛否を投じる債権者らの判断に影響が出かねない。

東松山名物のやきとりを提供する(東松山駅前本店)

2018年6月期の最終利益は3900万円だった。店舗出店など積極的な事業拡大で、売上高の増加と最終黒字が続いており経営は好調に見えた。ところが19年6月期は14億7000万円の赤字に転じた。約77億円の負債を抱え、東京地裁に民事再生の手続きを申請した。26日午後に都内で開かれた債権者説明会では、同社の信頼が揺らぐ事態が報告された。

複数の出席者によると同社は「架空の売上高の計上、固定資産の過大計上、経費の過小計上を繰り返していた」ようだ。同社の貸借対照表には実際には存在しない資産が複数あるとみられる。説明会資料では、過大計上せずに算出した19年6月期の売上高は12億2200万円。前の期を約4割下回る。

さらに弁護士の報告によれば「空リース」や「多重リース」と呼ばれる不正なリース契約による資金の調達も発覚した。詳細はまだ不明だが、多重リースは一時的に資金を得られるにすぎず、多額のリース料を支払う羽目になる。

ある出席者は「最初の粉飾は法人税の滞納金のためだった」と明かす。同社の日疋好春社長は過去に親族が連帯保証人として背負った借金返済に追われていた。09年ごろに法人税滞納を知った金融機関が取引停止を通告。手元資金に余裕がなく売り上げの架空計上で財務状況を良く見せて借り入れし、税金を納めた。

11年も東日本大震災の影響で業績が悪化した。従業員の給与、債務支払いが滞るのを危惧、以降「毎期のように過大計上を繰り返し、債務が積み重なった」(出席者)。

「リース契約の実態を明らかにすべきだ」「粉飾分を洗い出し、過去に遡り決算書を作り直してほしい」。説明会には金融機関やリース会社など約90人が参加し、会は2時間に及んだものの、粉飾の金額やリース契約の手法の詳細などは明らかにならなかった。

26日、民事再生手続きの開始決定を受けた。今後の事業再生の第1段階は、債権カット率などを含む再生計画案が通るかどうか。「粉飾や多重リースの悪質性も、計画の賛否に関わる重要な要素だ」(地元金融機関)

同社は地元食材を積極的に使い、埼玉ブランドの発信や地域経済活性化に寄与した優良企業としても名高かった。13年ごろから出店を加速させ、酒販店や飲食店も買収したが、過剰な投資で人件費など経費が膨らみ、収益悪化を招いていた。

負債77億円のうち、約8割は約20行の金融機関が債権を持つ。長年の粉飾を見抜くのは難しかったようだ。ある金融機関の幹部は「きちんと経営指導できるようなメインバンクが不在だったことも大きい」と話す。国からも表彰されるなど地域内外での評価から、同社に厳しい目を向けられなかったのも一因だろう。

民事再生法の適用申請後、金融機関や経済界を中心に地元では衝撃が広がった。「食べに行って応援しよう」などの励ましの声も多くあがる。地域のためにも長年にわたる粉飾や不正な手続きの説明、経営陣の責任や経営体制の改善が問われている。(藤田このり)

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