宇宙・サイバー手厚く 防衛省概算要求5兆3223億円

2019/8/30 14:00
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米の強襲揚陸艦ワスプに配備されたステルス戦闘機F35B

米の強襲揚陸艦ワスプに配備されたステルス戦闘機F35B

防衛省は2020年度予算の概算要求で、過去最大の5兆3223億円を計上した。安全保障上の脅威が高まっている宇宙やサイバーなど新領域での防衛体制強化を手厚くし、宇宙監視に特化した部隊を航空自衛隊に新設する。装備品では最新鋭のステルス戦闘機F35Bを米国から6機購入する費用も積む。

概算要求額は19年度当初予算比で1.2%増えた。要求にあわせて20年度予算案も前年度を上回れば、8年連続の増加となる。

宇宙分野では「宇宙作戦隊」(仮称)を20年度中に新編する。他国の人工衛星からの電波妨害などで自衛隊の活動が影響を受けないよう、宇宙空間を常時監視する。米国が結成した「宇宙軍」から指導教官を招き、ノウハウを取り入れる。日米連携に支障を来さないよう能力向上につなげる。宇宙空間に設置する光学望遠鏡の開発も進める。

自衛隊はサイバー防衛の人材育成に力を入れている(神奈川県横須賀市の陸上自衛隊通信学校)

自衛隊はサイバー防衛の人材育成に力を入れている(神奈川県横須賀市の陸上自衛隊通信学校)

陸上自衛隊は電磁波を使って相手の攻撃を妨げる「電子戦部隊」を設ける。20年度末に健軍駐屯地(熊本市)に80人規模で発足させる。相手のミサイル発射を阻むため、射程圏外から妨害電波を出す「スタンドオフ電子戦機」を開発する。

中国やロシアなどは新領域での攻撃能力を高めている。これに対抗するため、陸海空の従来領域と新領域の能力を融合した「クロス・ドメイン(領域横断)」作戦を重視する方針を示している。

従来領域では、海上自衛隊の護衛艦「いずも」を事実上の空母とする改修費も盛り込んだ。20年度予算でまず6機導入予定のF35Bが離着艦できるよう、耐熱性の高い甲板に改修する。21年度中に完了させる予定だ。

F2戦闘機が退役する30年代半ばの運用開始を目指す将来戦闘機の開発費について、金額を示さずに予算を求める「事項要求」とする。日本主導の開発を目指し、年末の予算編成までに詳細を詰める方針だ。

防衛費を巡っては、過去に契約した装備品のローン返済残高が年々増えている。こうしたローンは「後年度負担」と呼ばれる。20年度の新規契約によって、21年度以降の後年度負担は2兆5170億円に膨らむ。20年度以降のローン残高は5兆4942億円にのぼり、20年度の概算要求額を超える。

ローン返済額にあたる「歳出化経費」も増えている。20年度は2兆1615億円で19年度当初予算比で9.9%増える。人件費などと合わせると約4兆3000億円となり、ほかの事業などの予算に回せず硬直化が進む。

歳出化経費が増える主な要因は米国からの高額な装備品の取得だ。米政府と直接契約して取得する対外有償軍事援助(FMS)の契約額は20年度概算要求で5013億円と見積もった。F35やイージス艦に搭載するシステムなどを購入する。

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