南海、通勤電車でも亀裂 最大30センチ「力が集中」
特急ラピート問題

大阪・難波と関西空港を結ぶ南海電鉄の特急「ラピート」の台車で長さ14センチの亀裂が見つかった問題で、同社の通勤電車の台車でも今年3月、長さがそれぞれ30センチと5センチの2カ所の亀裂が確認されていたことが30日までに、同社への取材で分かった。「車両の走行時に発生した力が台車に一部集中したことで亀裂が生じたと推定している」として、国土交通省近畿運輸局に報告したという。
南海は同日夕に大阪市内で記者会見を開き、台車に亀裂が見つかった問題について説明する。
南海によると、2カ所の亀裂は「2000系」の車両にあった。さらに同社の「CSR報告書2017」によると、2017年2月に「1000系」車両の台車でも長さ45センチ、30センチ、20センチの3カ所の亀裂を発見していた。ラピート以外の電車では14年度以降、これらを含め10カ所以上の亀裂が見つかっているという。
またラピートで約2年前に別の亀裂が見つかった際、台車の製造会社が「設計時の想定を超える力が加わった」と南海側に説明していたことも判明。運輸安全委員会は設計や製造過程に問題がなかったか調べる。
南海によると、ラピートでは17年11月の点検時に計4カ所の亀裂を確認。長さはそれぞれ17.5センチ、6.5センチ、4センチ、3.8センチだった。同社は製造会社の調査結果などを踏まえ、近畿運輸局に「当初の解析値よりもわずかに大きな力が発生し、その力の集中部が起点となり亀裂が発生した」と報告した。
今年4月の点検時に長さ14センチの亀裂が新たに見つかった際も、製造会社は同様の説明をしたという。
今回の14センチの亀裂と緊急点検で発見された10センチ弱のものを含め、これまでに5台の台車で計7カ所の亀裂発生が明らかになっている。いずれもモーターと台車をつなぐ溶接部分で、旧住友金属工業(合併で新日鉄住金となり、現在は日本製鉄に社名変更)製。
国交省関係者は溶接部分について「重いモーターを支え、走行時は車輪の振動も受ける。一般論として、ウイークポイントではある」と指摘した。〔共同〕