米が「宇宙軍」を発足 中国・ロシアに対抗

【ワシントン=永沢毅】米軍は29日、地域や機能別に設ける11番目の統合軍として、宇宙分野の任務を統括する組織となる「宇宙軍」を新たに発足させた。主に人工衛星の運用や宇宙での監視などにあたる。宇宙での軍事活動を強化している中国やロシアに対抗する狙いがある。
トランプ大統領は29日の発足式典で「宇宙軍の創設で米国の宇宙での優位性は揺るがないものになる」と強調。中ロを念頭に「宇宙での活動の自由を確保するのは、米国を狙うミサイルを探知し破壊するのに不可欠だ」と訴えた。
統合軍は陸海空軍や海兵隊を地域や任務ごとに編成したもので、アジア地域を担当するインド太平洋軍や核兵器の運用を担う戦略軍などがある。トランプ政権は今回の統合軍としての宇宙軍の発足を踏まえ、次は陸海空軍などと同格となる6番目の独立した軍としての宇宙軍の2020年中の創設をめざす。
ただ、独立軍としての宇宙軍の創設には議会の承認が必要で、予算増や組織肥大化への懸念から米議会や政府内でも慎重論がある。統合軍の発足には議会承認は不要だ。