公取委の指針案、識者の見方は

データの世紀
2019/8/29 23:00
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公正取引委員会は29日、プラットフォーマーと呼ばれるIT(情報技術)企業を独占禁止法で規制するための指針案を公表した。個人情報を扱うビジネスにはどんな影響が予想されるか。専門家に聞いた。

■行動経済学が専門の依田高典京大教授

政府のプラットフォーマー対策の念頭にあったGAFAは、個人データの扱いで批判されて慎重になっている。むしろ対応を求められるのは、井の中のかわずで後手に回っている日本企業だ。同意しても後から理解していなかったと言い出す非合理な個人を相手にビジネスをすることの怖さを学んだほうがいい。

データを使った人工知能(AI)による判断で個人に不利益が及ぶ可能性があれば説明を尽くさないといけないし、不利益に対する経済的な補償も意識する必要がある。

もともとは、分析の仕組みも粗雑な「優越的地位の乱用」という大風呂敷をこれ以上広げるべきではないと考えていた。ただ、リクナビ問題で考えを変えた。文系の学者でも理解できない説明で同意を得たとして学生のデータを売り、一部の学生に不利益が生じた可能性もある。優越的地位を使ったと言えるだろう。

■公正取引委員会で勤務経験がある平山賢太郎弁護士

今回の指針案のキーワードは「取引必要性」だ。消費者が特定のプラットフォーマーと取引せざるを得ないと判断されれば、その企業に「優越的地位」が認められうると明記された。

本人に利用目的などの説明が不足したまま個人情報を外部に提供していた就職情報サイト「リクナビ」も、規制の対象になり得る。学生が就職活動を進めるため、同社のプライバシーポリシーにやむを得ず同意していたかがポイントだ。リクナビ問題が発覚した後にも、学生が同サービスを辞めずに使い続けざるを得ないかを検証する必要があるだろう。

実際の摘発には課題もある。企業対企業のケースとは異なり、対消費者では利害関係のある人がきわめて多い。調査開始に必要な確度の高い情報を相当量、集められるかは、公正取引委員会のマンパワーと情報収集能力にかかっている。

(平本信敬、寺井浩介)

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