テレビ世界3位の中国TCL、日本市場に本格参入

2019/8/29 19:03
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中国のテレビ大手、TCL集団は29日、日本市場に本格参入すると発表した。「量子ドット」(QLED)技術を搭載したテレビなど3機種を9月末から販売する。中国の家電市場が縮小傾向にあるなか、五輪特需でテレビ市場が活況な日本での売り上げを増やす。2021年末までに国内シェア3%を目指す。家電量販店のほかホテルなど法人向けにも販売する。

次世代ディスプレー技術「量子ドット」を採用した4K対応テレビ「X10シリーズ」と記念撮影に応じるTCLジャパンエレクトロニクスの李炬代表取締役(29日午後、東京都中央区)

同社の日本法人、TCLジャパンエレクトロニクス(東京・中央)は、これまでテレビをネット通販など限られたチャネルでしか販売していなかった。販売するのは次世代ディスプレー技術「量子ドット」を採用した4K対応テレビ「X10シリーズ」(65V型の店頭予想価格は20万円前後)や4K液晶テレビ「C8シリーズ」(同12万円前後)、より手ごろな価格の4K液晶テレビ「P8シリーズ」(同10万円前後)など。幅広い価格帯の製品ラインアップをそろえブランドをアピールする。

TCLは4年前に日本法人を立ち上げた。日本市場での展開をこのほど進めることにした背景には、中国の家電市場の減速がある。中国国内では不動産販売規制の影響で住宅販売戸数が減少。家電の低価格競争の激化も起因し、白物家電やテレビ市場は縮小傾向にある。

米中貿易摩擦への懸念もある。TCLの18年の液晶テレビの出荷台数約2800万台のうち、17%は米国向け。そのほとんどはメキシコやベトナムなど中国国外の工場で作られている。この現状では貿易摩擦の影響は少ないが「今後、中国メーカーが国外生産した製品も対象になる可能性もある」(TCLジャパンエレクトロニクスの李炬代表取締役)。新たな収益の柱になりうる市場として、地理的に中国の生産拠点から製品を出荷しやすい日本に白羽の矢をたてた。

20年に開催される東京五輪・パラリンピックに向けた特需獲得にも期待する。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、18年の4K対応薄型テレビの出荷台数は前年比約28%増の198万9000台。訪日外国人(インバウンド)の増加を見込み、都内ではホテルの新設が相次いでいる。TCLは日本国内の情報システム会社などと組んで納入を目指す。ホテルへ20年中に5000台を販売する。

国内での販売体制なども強化する。自社で管理するコールセンターを20年内に新設し、商品のアフターサービスを強化。営業人員も18年に前年比約4倍に増やし、これまで取引のなかった家電量販店などで製品を提供できるようにしていく。

英IHSマークイットの調査によると、TCLの薄型テレビの世界シェア(17年)は7.1%とサムスン電子やLG電子など韓国勢に次ぐ3位。海外では圧倒的なシェアを持つ海外勢だが、日本ではソニーなどの国産メーカーの牙城を崩せていない。都内で29日に開かれた記者会見でTCLジャパンエレクトロニクスの李代表取締役は「一歩一歩根気よく頑張れば日本でも受け入れられるはず」とし、海外メーカーが参入できていない日本市場での存在感を高めていく姿勢を見せた。

日本の技術者の雇用も増やすことで、日本市場に特化した製品の開発も進めていく。20年12月末までにはテレビの販売台数を13万台ほどにまで伸ばす計画で、3~5年後までにはシェア5%獲得を目指す。

(企業報道部 高木雄一郎)

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