商用車がリードする自動運転 初のレベル4公道走行

2019/8/29 18:50
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ボルボ(スウェーデン)傘下のUDトラックスや日本通運などは29日、特定の場所などで運転手が乗らずに走る「レベル4」に相当する自動運転を公開した。大型トラックでレベル4に対応したうえ、公道で走行したのも国内初。自動運転を巡っては、海外勢を含めて商用車メーカーの研究開発が加速する。乗用車と比べて高速道路など一定の条件のもとで走れるメリットもあり、人材難の解消、環境負荷の軽減などが期待されている。

実験はUD、日通、ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)と共同で実施した。ホクレンが北海道斜里町に持つ製糖工場でてん菜の運搬を想定し、工場近くの国道を含む実験ルート約1.5キロメートルを走行した。

公道は一般車や人が立ち入らないように交通規制をした。安全を配慮して運転手が乗っているものの、運転手がハンドルから手を離して走行したり、指定のスペースに自動駐車したりするなど性能を発揮した。

UDトラックスの酒巻孝光社長は記者会見で、「実証実験の結果を分析・検討して、2020年の商業化へ一歩を踏み出したい」と意気込んだ。同社は30年度に視野に入れる「完全自動運転化」に向けて、技術力を高めていく。

ドライバーがハンドルから手を離して走行している(北海道斜里町、29日)

ドライバーがハンドルから手を離して走行している(北海道斜里町、29日)

商用車の自動運転技術の開発では、世界最大手の独ダイムラーをはじめ欧州勢がリードしている。ボルボはノルウェーの鉱山でレベル4の実験にを着手し、商業稼働をみすえてトラックへの実装を進める。独ダイムラーは加減速などをシステムが支援する「レベル2」は開発を終え、レベル4搭載のトラックの開発に今後5億ユーロ(約600億円)を投じて、10年以内の商品化を目指す。

自動運転、無人運転などの領域ではトヨタ自動車の日本勢、米ゼネラル・モーターズ、米テスラなど自動車業界だけの争いではない。米アルファベットの傘下企業、中国勢も新型モビリティー(移動体)の開発の一環として、ビッグデータを武器に市場投入を検討している。

乗用車にばかり注目が集まりがちだが、トラック、バスなど商用車の進歩も著しく、様々な業界にプラス効果をもたらす可能性がある。

運転手不足が深刻な物流業界にとって、レベル4以上の技術が実現できれば、ドライバーの負担軽減につながる。無人となればドライバーレスも可能になる。国内では高速道路で後続トラックが無人で先頭車を追随する隊列走行の実験などが進められる。

今回の実証実験は広大なスペースを確保しやすく、自動運転の試験を積極的に誘致している北海道が選ばれた。実際に農作物を運ぶなど1次産業の底上げも期待される。商用車での自動運転の開発が加速されれば、多くの産業界の課題解決し、活性化を後押しするエンジンになる。

(岡田江美、荒川信一)

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