iPS細胞の角膜、初の移植 阪大

2019/8/29 17:43
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iPS細胞から作った角膜組織の移植実施について記者会見する大阪大学の西田幸二教授(29日、大阪府吹田市)

iPS細胞から作った角膜組織の移植実施について記者会見する大阪大学の西田幸二教授(29日、大阪府吹田市)

大阪大学は29日、iPS細胞から作ったシート状の角膜細胞を、損傷した患者に初めて移植したと発表した。iPS細胞を使う再生医療で実際に患者に移植したのは、国内では目の網膜の難病、パーキンソン病に次いで3件目。研究が順調に進んで実用化されれば、慢性的な角膜提供者の不足の解消につながると期待される。

移植は「角膜上皮幹細胞疲弊症」の患者を対象とする臨床研究の初めての例として、阪大の西田幸二教授らの研究チームが実施した。この病気は角膜を新たに作る細胞がけがや病気で失われ、視力が落ち、失明することもある。先天性だけでなく、熱い油などが誤って目に入る外傷でもなる。

西田教授によると、患者は両目の角膜が損傷して、ほぼ失明状態にある重症の40代女性。京都大学iPS細胞研究所が備蓄するiPS細胞から作った角膜の細胞を培養してシート状にし、患者の角膜上皮に移植した。

手術は7月25日に左目に実施した。約2時間で終了。8月23日に退院した。記者会見した西田教授は「術後の経過は順調で予定通り。濁ったところが透明になり視力もかなり回復している」と話した。今後は計画に基づいて1年間経過を観察して、慎重に安全性や有効性を調べる。

計画では、比較的症状が重い計4人に移植する予定だ。西田教授は「年内に2例目の移植を行い、最終的に4例全部終わるのは再来年と想定している」と語った。

今回の病気は、角膜移植による治療が一般的だ。提供者不足が慢性化しており、移植を待つ患者は現在、全国に約2000人おり、潜在的な患者を含めるとさらに増える。日本アイバンク協会などによると、全国の角膜提供者数は年間800人~1000人台で推移している。移植を希望しても通常2、3年待たなくてはならない状況で、米国などからの輸入に頼っている側面もある。

研究チームは順調にいけば、早くて5、6年後の実用化を目指す。普及には量産技術の確立と、低コスト化が課題だ。現在は1000万円程度かかるが「実用化するときには200万~300万円ぐらいを目指したい」と西田教授は話す。

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