ナンバーガール、17年ぶり復活 爆音ギターと蝉時雨

アートレビュー
2019/8/30 6:00
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今の日本語ロックの世界を見渡して、ナンバーガールの影響を公言するバンドやミュージシャンは数多い。2002年の解散後、17年ぶりにメンバー4人がそろって再結成する場に立ち会うことができた。きびきびとしたリズムに載せたツインギターの爆音、センチメンタルの一歩手前で踏みとどまる切ないメロディーの組み合わせは、蝉時雨(せみしぐれ)の鳴りやまない8月の夕暮れ空に響く、現代版「祭りばやし」復活の趣があった。

直前に出演予定だったライジングサン・ロック・フェスティバルが台風で中止となったため、ファンにとってはまさに待ち望んだ劇的な復活ライブとなった=菊池 茂夫撮影

直前に出演予定だったライジングサン・ロック・フェスティバルが台風で中止となったため、ファンにとってはまさに待ち望んだ劇的な復活ライブとなった=菊池 茂夫撮影

70年代ニューヨークパンクの名曲、テレヴィジョンの「マーキームーン」が流れる中、メンバーが舞台に現れる。「おひさかた、ブーリ、ブーリ」。ボーカル・ギターの向井秀徳のとぼけたMCは健在で、一気に会場の雰囲気は和む。その途端「鉄風 鋭くなって」「タッチ」「ZEGEN VS UNDERCOVER」と、ひずんだギターの音が塊のようになって襲ってくる中期の代表曲を畳みかけてきた。緩急をつけて盛り上げていくステージ展開は、堂に入ったものだ。

骨太のリズムとひずんだギターの音塊が聴衆の熱気とぶつかる。左から中尾、向井、田渕=菊池 茂夫撮影

骨太のリズムとひずんだギターの音塊が聴衆の熱気とぶつかる。左から中尾、向井、田渕=菊池 茂夫撮影

聴きどころは中盤にミディアムテンポの「SENTIMENTAL GIRL'S VIOLENT JOKE」や「DESTRUCTION BABY」を持ってきたあたり。狂おしく伸びる田渕ひさ子のリードギターを、アヒト・イナザワのドラムとダウンピッキング主体の中尾憲太郎45才のベースががっちりと支える。日本語ラップとファンクのリズムがかけ合わさった「NUM-AMI-DABUTZ」の緊張感を堪能できたのも、改めての収穫だった。

星野源やASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文ら、ナンバーガールの影響を公言するミュージシャンは多い。チケットが入手できず、会場から漏れてくる音を聴きに多くのファンが日比谷公園を訪れた=菊池 茂夫撮影

星野源やASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文ら、ナンバーガールの影響を公言するミュージシャンは多い。チケットが入手できず、会場から漏れてくる音を聴きに多くのファンが日比谷公園を訪れた=菊池 茂夫撮影

かつてロックを「ギターによる焦燥音楽」と喝破したのは、ほかならぬこのバンドだった。20年近くが過ぎても焦燥感を保ち続ける演奏は、若い世代のリスナーにも新鮮な響きを残しただろう。18日、日比谷野外大音楽堂。

(郷原信之)

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