公取委、IT巨人の個人データ利用を規制 指針案

公正取引委員会は29日、プラットフォーマーと呼ばれるIT(情報技術)企業を独占禁止法で規制するための指針案を公表した。情報量や交渉力で強い立場にあるIT企業が個人のデータを吸い上げる行為を独禁法違反の恐れがあると明記。個人の利益を損なわないよう監視を強める。
米グーグルやアマゾン・ドット・コムなどに代表されるプラットフォーマーはビッグデータや人工知能(AI)を使ったサービスを手がけ、利用者の便利な生活に欠かせない存在となった。ただ利便性の対価として不当に個人情報を吸い上げる懸念もあり、各国で規制の動きが広がっている。
規制の対象になるのは通販や検索のサイトのほか、動画配信やSNS(交流サイト)のサービスなどを手がける企業だ。ユーザーの利用頻度が高く、現実的に他のサービスへの乗り換えが難しい場合に問題となる。

指針案では個人情報の取得や利用で法律違反の恐れがある例を大きく4つに分類した。(1)安全管理が不十分(2)利用目的をはっきり知らせない(3)規約にないデータの収集・第三者への提供(4)サービスの対価以上に提供を強いる――などが違反にあたる。9月30日まで一般から意見を募集した後、正式に決める。

公取委は企業間の健全な競争を妨げる恐れがある行為を取り締まる。企業が強い立場を利用して取引相手に不利益を与える行為は、独禁法上の「優越的地位の乱用」として禁じる。これまで企業間の取引にしか当てはめてこなかったが、企業と個人の間のデータのやり取りにも適用できるよう考え方を整理した。
個人情報は個人情報保護法でも規制がある。ただ急速に成長するプラットフォーマーが利用者個人との力の差を利用して強制的に個人情報の提供を同意させたり、不要な情報を吸い上げたりする行為は独禁法での規制も必要と判断した。