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豊島逸夫の金のつぶやき

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金高騰、中期売りサイン点灯

2019/8/29 12:32
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金価格は米中貿易摩擦やホルムズ海峡の緊迫、朝鮮半島の政情不安、香港危機、ブレグジットなど様々なリスクを織り込み、年初の1トロイオンス=1280ドル台から1550ドル台に接近する水準まで上昇している。特に8月に入り、マイナス金利拡大とともに、上昇速度が加速した。金利を生まない金が、マイナス金利の時代にはハイイールド(高利回り)とさえいわれる。ゼロ金利はマイナス金利より相対的に高いというわけだ。

ドバイのゴールドショップではさまざまな金の宝飾品が売られている

ドバイのゴールドショップではさまざまな金の宝飾品が売られている

では、この価格急騰はいつまで続くのか。

プロ視点では、気になる中期売りサインが点灯している。

それは、ムンバイの現地金価格と世界標準のロンドン金価格の差(スプレッド)だ。

背景から説明すると、金の現物需要は7割近くを新興国に依存する。インド、中国、中東など文化的に金選好度が高い国民性だ。

例えば、インドでは嫁ぐ娘に、どれだけ持参「金」を持たせてやれるかが、父の甲斐性(かいしょう)とされるほど。このような金需要は所得弾力性が低い。つまり、懐が寂しくてもかわいい娘のためなら、お父さんは気張って金を買うのだ。インドのフェイスブックには、最近、そのお父さんたちが金高騰を嘆く書き込みも見られる。娘の結婚を控え、金高騰の今は買い控え、安くなったら一挙にまとめ買いする姿勢だ。

インドでは嫁ぐ娘にどれだけ持参「金」を持たせてやれるかが、父の甲斐性だという

インドでは嫁ぐ娘にどれだけ持参「金」を持たせてやれるかが、父の甲斐性だという

このようなお国柄ゆえ、ムンバイ(そして上海、ドバイ)の金宝飾店の店頭は、現在、超閑散である。逆に、顧客からの買い取りが増えている。需給は緩み、現地金価格は割安になる。金の現物輸送には時間を要するので、割安な市場で買い、割高の市場で売るアービトラージ(裁定取引)もすぐには成立しない。

このムンバイ金価格のディスカウント幅が、8月に入り1トロイオンス=60ドル前後まで記録的に拡大している。6月に1330ドル台のときはディスカウントが0.5ドル程度であった。それが8月初旬、1430ドルまで上がったときに30ドルほどにスプレッドが急拡大していた。

それでも金価格が8月に上昇したのは金先物・上場投資信託(ETF)主導の投機的価格形成による。じゃぶじゃぶの現物需給に逆らって急騰する相場は、まず逆V字型の展開で終わる。

ちなみに、金価格が1100ドル台まで下落したときには、このスプレッドが大幅なプレミアムに転じていた。「金の輝きがうせた」と言われ、ニューヨーク(NY)先物市場が売り一色のとき、ムンバイの金宝飾店は集中的な顧客の購入により在庫不足が生じるほどであった。これは、プロ目線で底入れのサインなのだ。事実、1200ドル割れは長続きしなかった。

では、現在続騰中の金価格の見通しはどうか。

筆者は、年初本紙で「米利上げ停止で1400ドル超、利下げとなれば1500ドルも」と予測していた。

金、米利上げ停止で1400ドル超も 豊島氏

しかし、その時点で想定できていなかったことは、米金融政策の引き締めから緩和へ異例の短期間での転換と記録的金利急落現象だ。中央銀行の金購入は昨年から顕在化していたので、年初予測でも想定していた。

この2つの要因で、金需給の均衡価格水準は切り上がり、1400ドル程度とみている。

今後、膨張した投機的買いポジションが一斉に売り戻されても、1400ドル程度で落ち着くであろう。

いっぽう、新規の投機買いが続く足元の市場環境では、モメンタム(勢い)で、超短期的には瞬間タッチで1700ドルをつけても驚かない。トランプツイートで大きく振れるので、予測不能の領域だ。とはいえ予測できるのは、そのような価格水準になれば、ムンバイやロンドンのディスカウントは100ドルを大きく超え、中期的には維持不可能なレベルになるということだ。

なお、高値圏での供給サイドを見ると、新産金は、埋蔵量の多くが海底なので、新たな金鉱山開発事案が激減している。年間の金生産量は長期的にピークをうった。ただし、腐食しない金にはリサイクルという二次的供給源がある。今や、日本国中に「金買い取り店」が雨後のたけのこのごとく急増した。この現象は世界共通で、金リサイクルのインフラが出来上がってきている。それゆえ、これまでの事例でも、金価格が1500ドルを超えると、二次的供給が急増する傾向がある。これも、中期的な金価格にジワリとボディーブローのごとく効く要因なのだ。

個人投資家へのアドバイスとしては、金は「もうける」というより「ためる」という発想で、身の丈に応じた一定金額でドルコスト平均法により買い増してゆくことが望ましい。金は配当金も生まないので、資産運用では、主役の株に対し、脇役である。金価格は主役から独立したリスクを持つのでリスク分散効果がある。ただし、脇役ゆえ、運用配分もせいぜい10%程度にとどめるべきだ。そして、ヘッジとして長期保有する金が役立たないのがよい。それが、トランプ大統領の時代になって役立ってしまう事例が増えている、ともいえよう。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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