首相「アフリカのコメ生産、倍に」 TICADビジネス対話
安倍晋三首相は29日午前、アフリカ開発会議(TICAD)の官民ビジネス対話で「2030年までにアフリカ全土におけるコメの生産量を今の倍、5600万トンにしたい」と表明した。気候に適した稲の普及や農作業の機械化を支援し、アフリカの自給率引き上げを目指す。

横浜市で開幕したTICADは2日目に入った。官民ビジネス対話には日本の企業関係者やアフリカに拠点を置く欧州企業関係者らが参加した。官民ビジネス対話をTICADとして開いたのは初めて。
あいさつに立った首相は「アフリカにとって重要な農業の競争力をつけるのに日本政府の出番はある」と訴えた。地方自治体にいる農業の専門家をアフリカに派遣する方針を示した。
「大陸全土が巨大経済圏になる日が見えている」としてアフリカ市場の規模拡大に期待感を示した。政府がすべきこととして人材育成、質の高いインフラの提供、資金を手に入れやすくすることを挙げた。
中国の巨額の融資などを背景にアフリカには債務超過に苦しむ国がある。首相は「相手国が借金漬けになっては、みなさまの進出を妨げる」と指摘した。今後3年間、重点国を毎年10カ国選び、延べ30カ国で公的債務やリスク管理の研修を実施する。まずガーナやザンビアに債務管理とマクロ経済運営のアドバイザーを派遣すると発表した。
官民ビジネス対話で議論したアフリカ市場の課題や可能性については、アフリカ各国政府に企業の要望として伝える。ビジネス環境の整備につなげたい考えだ。
TICADは午後、農業や防災・気候変動などをテーマにした会合を開く。30日に閉幕する。