村田製作所、旧ソニーのリチウムイオン電池工場を公開
175億円かけ事業買収

2019/8/28 19:05
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郡山事業所のリチウムイオン電池の製造ライン(8月28日、福島県郡山市)

郡山事業所のリチウムイオン電池の製造ライン(8月28日、福島県郡山市)

村田製作所は28日、リチウムイオン電池などを製造する東北村田製作所(福島県郡山市)の郡山事業所を公開した。村田製は2017年9月にソニーから約175億円をかけて電池事業を買収。同事業を育成して、主力の電子部品からの多角化を目指している。

郡山事業所はソニーが1991年に世界に先駆けてリチウムイオン電池の量産を始めた工場だ。生産ラインではリチウムイオン電池のセルが組み立てられ、充放電を繰り返す試験を経て梱包されていた。

村田製がソニーから買収したリチウムイオン電池技術は、正極とよばれる部材に新素材を活用した発火しにくい技術なども含まれる。村田製はこの技術を使った電池を「FORTELION(フォルテリオン)」と名付け、蓄電システムなどに搭載している。この日は電池にクギを打ち込んで意図的に発火させる実験も公開。従来型は打ち込まれると瞬時に発火したのに対し、フォルテリオンは発火しなかった。

リチウムイオン電池にクギを打ち込んで意図的に発火させる実験も公開した(8月28日、福島県郡山市)

リチウムイオン電池にクギを打ち込んで意図的に発火させる実験も公開した(8月28日、福島県郡山市)

同社は回路内の電圧を整えるコンデンサーで世界シェアの4割を握るなど電子部品が主力だ。ただ、スマホやノートパソコンなど同社の部品を搭載する電子機器は、需要の一巡で今後大幅な成長が見込みにくい。

そこで将来の成長分野として力を入れるのが電装化が進む車載関連事業やヘルスケア、そして電池事業だ。「電池は産業のコメ。事業のポートフォリオを担えるように育てたい」(中島規巨代表取締役専務執行役員)といい、電池事業を主力の一つにしたい考えだ。

ただ事業の黒字化は22年3月期ごろになるという。当初は19年3月期にも達成したい考えだったが、「需要の高まりで投資が大きくかかっている」(中島専務執行役員)。村田製は事業を譲受してから約500億円をかけて中国やシンガポールの生産拠点の設備を増強してきた。モバイル機器向けバッテリーでは他社製品との差別化も課題となっているという。

村田製は買収で得たソニーのリチウムイオン電池技術と同社が従来から持っていた電源技術を組み合わせ、家庭用や産業用の蓄電システムを開発、販売も始めている。

(福冨隼太郎)

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