太平洋諸国、温暖化に危機感 石炭輸出の豪州に批判

2019/8/28 16:52
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【シドニー=松本史】フィジーなど太平洋の島国が地球温暖化の進行に危機感を強めている。海水面の上昇による国土の縮小に直面しているからだ。13~16日にツバルで開いた太平洋諸島フォーラム(PIF)では温暖化対策の姿勢が定まらないとして、地域の後ろ盾のはずのオーストラリアへの批判が噴出した。相対的にインフラ整備で協力する中国への評価が高まる事態になっている。

フィジーのバイニマラマ首相=ロイター

ツバルのソポアンガ首相=ロイター

オーストラリアのモリソン首相=ロイター

「我々の関係は強固で深い」。豪州のペイン外相は25日、太平洋諸国との関係は良好だと豪メディアに強調した。弁明はフィジーのバイニマラマ首相やツバルのソポアンガ首相らに向けられた。

ソポアンガ氏はPIFの間にツバルで開いた記者会見で、同席したモリソン豪首相に対し「あなたは自国の経済を心配しているが、私は(水没の危機がある)ツバルの国民を救うことに関心がある」と言い放った。石炭産業を擁護するモリソン氏を皮肉った。ソポアンガ氏の指摘の背景には、燃焼で多くの二酸化炭素(CO2)を排出する石炭の輸出に力を入れる豪州へのいら立ちがある。

豪州は温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定を批准済みだ。ところが、海水が生活圏へ徐々に迫ってくる恐怖にさいなまれる島国の人々の感情はいやされない。太平洋諸国はPIFで「ツバル宣言」として抜本的な温暖化対策をまとめようとしたが、モリソン氏が強く反対し、この宣言は幻となってしまった。

「中国人はよい人たちだ。モリソン氏よりも絶対によい」。バイニマラマ氏はPIFで訪れたツバルで英紙ガーディアンにこう述べ、モリソン氏をこき下ろした。

中国は広域経済圏構想「一帯一路」の一環として太平洋諸国に近づき、国有銀行を通じたインフラ整備の投融資を進めている。豪州も太平洋諸国に多額の支援を実行してきたが、バイニマラマ氏は「(豪州の態度は)非常に侮辱的で人を見下している。中国人はそんなことはしない」と話す。

PIFはフィジーに事務局を置き、豪州やニュージーランド、パプアニューギニアを含む16カ国と2地域が加盟する。政治、経済、安全保障など幅広い分野における地域協力の組織だが、実際には豪州を事実上の盟主として、米国を中心とする自由主義陣営に太平洋諸国を囲い込む枠組みだ。

そこで中国の影響力が急速に強まっている。

「中国でもインドでも豪州でも、最も安い(好条件の)支援をしてくれる国が一番だ」。パプアのマラぺ首相は26日、豪メディアに語った。マラペ氏の視線の先には中国がある。豪紙オーストラリアンは8月上旬、マラぺ氏がパプア駐在の中国大使と会い、パプアの公的債務残高のうち約270億キナ(約8400億円)について、借り換え支援を中国に求めたと伝えた。この報道をマラぺ、モリソンの両氏は否定したが、真相は不明だ。

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