「利下げ拒否を」 FRB元高官が寄稿 市場に波紋

2019/8/28 16:47
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【ニューヨーク=後藤達也】27日に米ブルームバーグ通信が公開したダドリー前ニューヨーク連銀総裁の寄稿が市場に波紋を広げている。このなかで同氏は「米連邦準備理事会(FRB)はトランプ政権との同調(利下げ)を拒否すべきだ」と訴えた。最近まで金融政策の最前線にいた有力者の「直言」を受け、市場では先行きの利下げ観測が揺らぐ場面があった。

ダドリー氏は18年までFOMCの副議長を務めた=ロイター

27日の金融市場では寄稿を受け「実際には利下げに慎重なFRBの立場を代弁したのかもしれない」(債券トレーダー)との観測が浮上した。金融政策の見通しに影響を受けやすい2年物国債の利回りが一時上昇し、10年物国債の利回りを上回る「逆イールド」が拡大する場面がみられた。

ダドリー氏は2018年6月までニューヨーク連銀総裁と米連邦公開市場委員会(FOMC)の副議長を務め、FRBの元高官にあたる。FRBのイエレン前議長やパウエル現議長を支えた。

ダドリー氏は、トランプ米大統領が20年に再選を果たせば「米経済やFRBの独立性には間違いなく脅威となる」とも指摘した。トランプ政権が中国を相手に仕掛けた貿易戦争は「破滅への道だ」と批判した。

利下げは米景気を一時的に支える材料になるかもしれないが、トランプ政権が貿易交渉で一段と強気に出る可能性があるとも説明した。利下げは「(米中貿易戦争などの)情勢を悪化させるかもしれない」と主張した。

そのうえで「FRBは自身の政策判断が(20年の米大統領選の)結果に与える影響を考えるべきだ」と注文をつけた。

FOMCのメンバーだった重鎮が、大統領選も視野に政策判断すべきだとFRBに対して明言するのは異例の事態だ。

FRBの報道官は寄稿が公になると即座に「金融政策の目的は物価の安定と雇用の最大化であり、政治的な配慮とは無関係だ」というコメントを出した。トランプ氏はツイッターに「FRBは私たちの製造業が輸出で苦しむのをみるのが好きなのだ」と投稿し、一段の利下げを求める姿勢を改めて鮮明にした。

23日にはパウエル氏が「貿易政策(に関わる仕事)を担うのは議会や行政で、FRBでない」と言明した。だが「貿易政策の不確実性を含め、雇用や物価に関係するあらゆることが金融政策の運営に影響を与える」とも付け加え、利下げを求めるトランプ氏の圧力にどう対応するか苦慮している心情を吐露した。FOMCのメンバーではジョージ・カンザスシティー連銀総裁らが利下げに慎重な姿勢を示している。

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