国の障害者雇用2.31% 6月、4割の機関で基準未達
厚生労働省は28日、行政や司法など国の機関の障害者雇用率が2019年6月時点で2.31%だったと発表した。障害者雇用を巡っては18年に行政機関で水増しが相次いで発覚。国は法定雇用率(2.5%)を満たすため採用を急いでいるが、依然4割近い機関が基準を達成できていない。厚労省は「未達の機関はより一層の努力が必要」としている。

国の行政、司法、立法の44機関のうち不足数が多く雇用率が低かったのは外務省(1.03%)や内閣府(1.52%)、農林水産省(1.86%)など。計17機関が基準を達成できなかった。
一方、雇用率を満たしていたのは厚生労働省(3.12%)や警察庁(2.89%)、気象庁(3.05%)などで、基準達成は前年から19機関増え、27機関となった。
行政機関による障害者雇用の水増しは18年8月に発覚した。17年6月時点の国の機関全体での雇用率は2.50%と公表されていたが、実際には28機関で計約3700人分を水増し計上しており、実態は基準を大きく下回る1.17%だった。
既に死亡した人や退職した人らも障害者の雇用率を算定する対象にしていた。18年の雇用率も1.22%で、基準を満たすには計算上で約4300人不足していた。
政府は19年中に約4千人の障害者を採用する計画。各機関は18年10月から19年6月までに計3444人を採用したが、職場環境になじめなかったり、体調が悪化したりするなどの理由で既に161人が離職した。
厚労省障害者雇用対策課の担当者は「採用は順調に進んでいるが、個々に合った仕事が割り振られていない傾向もみられ、離職の一因にもなっている。上司や同僚に悩みなどを相談しやすい環境を整える必要がある」と話した。