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高校野球は教育の一環なのか 競技団体が主催の怖さ
ドーム社長 安田秀一

Tokyo2020
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2019/9/9 11:00
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第101回全国高校野球選手権大会で初優勝を果たし、喜ぶ履正社ナイン(8月22日、甲子園球場)=共同

第101回全国高校野球選手権大会で初優勝を果たし、喜ぶ履正社ナイン(8月22日、甲子園球場)=共同

101回目の「夏の甲子園」は投手の球数制限などについて多くの人の関心を集めました。優勝した履正社高校(大阪)をはじめ、ベスト4のチームはいずれもエースだけでなく複数の投手を起用して勝ち上がりました。これまで医学的なリスクなどを指摘してきた米スポーツブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店、ドームで社長を務める安田秀一氏は、こうした傾向に一定の評価をしつつ、問題の本質は別のところにあると切り込みます。

◇   ◇   ◇

今年も夏の高校野球の投手の球数制限、過密日程や暑さ対策などが大きな議論になりました。

大船渡高校が最速163キロを投げる佐々木朗希投手を岩手県大会の決勝のマウンドに送らずに敗退したことの是非も話題になりました。かつてはエースが炎天下で何百球も投げ続けることが美談とされていたわけですから、大きな変化です。「議論がなされること」自体が健全なことですので、ようやくいい方向に向かい始めたと思っています。

しかし、まだどんな「対応策をとるか」という表面上の議論にとどまっているように思います。このコラムで過去にも指摘していますが、問題の本質は高校野球、高校スポーツのあり方そのものにあります。教育機関ではない競技団体が、教育を目的に掲げて高校生の大会を主催していることに、そもそもの矛盾があるわけです。

■米国の部活動は正規授業

本来はどうあるべきか。米国では基本的に、部活動は正規の授業や活動にくくられます。ほとんどの学校にはスポーツに関わる活動を統括する「アスレチックデパートメント」という部局があり、責任者としてアスレチックディレクター(AD)という存在がいます。ADの仕事は学校のスポーツプログラムを通じて人材教育をすること、そして「学校の人気を高める」ことです。

ADの大きな仕事として、スポーツに関わる全ての活動の事業計画を立て、ファンドレイジング(資金調達)をする、というのがあります。地元の有力者や学校OB・OGを招いて計画を説明し、寄付を募ったりスポンサーを集めたりするわけです。僕は米アンダーアーマーの創業者で友人でもあるケビン・プランク氏の母校のファンドレイジングイベントをのぞいたことがありますが、3年計画での施設修繕などに約80億円を集めるという大規模なものでした。

その財源などを使って予算を組み、施設を整備し、各競技のコーチを雇用します。アスレチックデパートメントは競技ごとに縦割りにするのではなく、各競技が横で連携し、共同で利用するトレーニングルームを管理し、各競技にまたがるトレーナーや栄養士も雇用したりします。生徒たちはシーズンに応じて部活動を掛け持ちすることもあり、アメリカンフットボールや陸上、野球などさまざまなスポーツに取り組むことができます。

スポーツにどれだけ投資するかは学校によって方針が違い、学校の規模も異なります。基本的にバスで移動できる範囲の地域で、同じ規模、同じ方針の学校が集まってリーグを作り、シーズンに合わせてそれぞれの競技をホーム&アウェー方式で戦います。日程は学校同士の事情で決め、1軍の試合だけでなく2軍、3軍同士の試合もあります。だからみんなが試合に出場することができます。学校でゲームが行われますから、入場料や飲食、物販など興行収入が直接学校に入ってきます。

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