自前で電柱、雇用つくる 葛尾創生電力社長 馬場弘至氏
キーパーソン

2019/8/27 19:12
保存
共有
印刷
その他

葛尾創生電力は東京電力福島第1原子力発電所事故の被災地の福島県葛尾村(かつらおむら)に設立された。村と県の外郭団体が出資した地域電力会社で2020年末に太陽光発電による電気の販売を始める。社長で葛尾村副村長の馬場弘至氏(45)に狙いを聞いた。

葛尾創生電力の馬場弘至社長

――原発被災地に地域電力会社を設立した経緯を教えて下さい。

「帰還困難地域が一部に残ることもあり、住民票のある約1400人のうち帰還した人の比率は3割程度にとどまる。避難した人に戻ってもらうだけでなく、新しい人に来てもらうためにはどうすればいいか。村が県と真剣に考えた結果、地域電力を設立し、再生可能エネルギーを活用したスマートコミュニティ(環境配慮型社会)づくりを目指すことにした」

――事業の取り組み状況はいかがですか。

「すでに太陽光発電設備が稼働しており、村役場の電気を東北電力から切り替えた。今後自前の電柱を約80本立て、村内に全長4キロメートルの電線を張る。割安な価格と地域振興をアピールして契約をお願いしている。供給地域内に計百数十戸ある一般と公営の住宅の大半のほか村内の工場などにも電力を供給できそうだ」

「また新電力会社として外部から仕入れた電力を同じ双葉郡内の企業などに外販する事業も予定している。市場規模の大きい電力の外販を加えることで事業の安定度が増すとみている」

――電力は投資負担が大きいといわれます。

「総事業費8億円のうち5億円強は国の補助金を活用した。人口密度の低い中山間地に地域電力をつくるのは難しいとの声もあったが、幸い葛尾村は村の中心部に住宅や公共施設が集まるコンパクトな構造だった」

「軌道に乗れば売上高は年6億円強になる計画だ。社員8人前後のほか、季節限定の発電所の保守管理などに10人程度の雇用を生むとみている。こうして稼いだお金を村の中で循環させたい」

「スマートコミュニティという村の将来の形を示すことができれば人口の回復に弾みをつけることができるはずだ」

(聞き手は郡山支局長 村田和彦)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]