ダイドー、無人コンビニとタッグ オフィス自販機に活路

2019/8/27 18:02
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ろっぴゃくは「オフィス向け無人コンビニ」と称するビジネスモデルで成長している

ろっぴゃくは「オフィス向け無人コンビニ」と称するビジネスモデルで成長している

ダイドーグループホールディングスは自動販売機の立て直しへオフィスに活路を求める。3月に出資したオフィス向け無人コンビニを展開するスタートアップと連携し、オフィス内など好立地の自販機設置比率を3年後に現状の4割から5割に増やす。2019年2~7月期の連結決算は自販機販売の不振で減収減益だった。オフィスの開拓で経営の屋台骨である自販機販売の低迷を打開する。

27日に発表した19年2~7月期の連結決算は、売上高が前年同期比2%減の854億円、純利益が34%減の12億円だった。国内飲料事業の自販機経由での売上高が5%減の491億円となったことなどが響いた。

ダイドーの連結売上高の約7割が国内飲料事業で、うち約8割を自販機での販売が占める。約28万台を保有する自販機はダイドーの国内飲料販売の生命線だが、コンビニエンスストアやドラッグストアが自販機よりも安価で販売していることなどにより利用が低迷している。

自販機販売は業界全体としても厳しい。飲料総研(東京・新宿)によると国内の飲料市場に占める自販機での販売比率は18年に27%と、10年前(35%)から大きく低下した。ダイドーの自販機への依存度は他社に比べて際立って高く、立て直しが急務となっていた。

そこで、3月に3億円を出資したスタートアップの600(ろっぴゃく、東京・渋谷)と共同で、一定の利用が見込めるオフィス内への設置を増やす。ろっぴゃくは冷蔵庫ほどの大きさの自販機をオフィス内に設置。弁当や総菜のほか、文具や日用品など利用企業が希望する商品を販売する「オフィス向け無人コンビニ」と称するビジネスモデルで成長している。

ろっぴゃくの自販機を導入した企業は月額利用料を支払う必要があるが、ダイドーの自販機併設を条件に月額利用料をダイドーが負担するなどの戦略でオフィス内への設置拡大を図る。

ダイドーはオフィス内や商業施設内、駅前など人の往来が多く、一定の自販機利用が見込める好立地「クローズドロケーション」への設置比率を現状の4割から22年1月期に5割に引き上げる目標を掲げる。こうした好立地は他社も狙っているため競合が激しく、オフィスとのパイプを持つろっぴゃくへの1割強の出資で好立地への設置を増やしたい考えだ。

クローズドロケーションへの設置拡大へ営業人員を増やす。20年1月期の下期から来期にかけて約100人を中途採用する計画だ。

自販機を、あらゆるモノがネットにつながるIoT化するなどの投資も加速する。ダイドーは22年1月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画で既存事業に計120億円を投資する方針を打ち出し、このうち60億円を自販機のIoT化などにあてる。自販機に通信機能を搭載し、商品ごとの売れゆきをほぼリアルタイムで把握できるシステムの導入を進める。売り切れを防ぎ、販売機会のロスをなくす。

様々な自販機の強化策を打ち出しているものの、今後、自販機販売の大幅な成長は見込めない。ダイドーはライバルと比べて有名ブランドが少なく、SMBC日興証券の伊原嶺アナリストも「誰もが知っている強力なブランドを育てる必要がある」と、国内飲料事業の抜本的な立て直しには商品力の強化が欠かせないと指摘する。

成長投資による減益の面も

ダイドーは自販機事業を立て直す一方、収益源を広げる取り組みも進める。2019年2~7月期は前年同期比の連結営業減益額12億円のうち、約8億円が成長投資による減価償却費などだった。医薬品会社など向け栄養ドリンクのOEM(相手先ブランドによる生産)工場を群馬県に新設したことなどが響いた。

「今後、3カ年は減益基調になることを覚悟している」と高松富也社長は語る。20年1月期通期では成長投資による連結営業減益額が20億円となる見通しで、全体の減益額(26億円)の約8割に上る。

22年1月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画では合計450億円の成長投資を計画。うち330億円分を新規事業の育成にあてる。希少疾病向けの医薬品開発なども進め、自販機での飲料販売の比重が大きいビジネスモデルからの脱却を模索する。

(渡辺夏奈)

600(ろっぴゃく) 2017年設立で、オフィス専用の自動販売機を展開する。クレジットカード決済と無線自動識別タグを使った商品管理が特徴だ。利用者が自販機から商品を取り出すだけで、何が売れたかを瞬時に把握できる。東京都内の新興企業を中心に、4月時点で50社超が導入している。
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