厚労省、概算要求32.6兆円 社会保障費増え最大に
厚生労働省は27日、2020年度予算の概算要求をまとめた。要求額は32兆6234億円と、今年度の当初予算より2.1%(約6593億円)多く、要求段階で過去最大の規模になる。年金や医療などの社会保障費の増加が大半を占める。政府が力を入れる30代半ばから40代半ばの「就職氷河期世代」への支援策なども盛り込んだ。

27日午後の自民党厚労部会に示した。要求額のうち、30兆5269億円が社会保障の経費だ。分野別で最も規模が大きいのが年金で12.1兆円。今年度当初予算に比べ1.2%増だ。公的医療保険への国費の支出は1.6%増の約12兆円を求める。

介護関連は4.7%増の3.3兆円を見込む。年を重ねるほど介護が必要になる確率は上昇するため、高齢化の進展で社会保障費のなかでも高い伸びとなっている。
政府は高齢化に伴う20年度の社会保障費の自然増を19年度より700億円少ない5300億円と見込む。太平洋戦争などの影響で新たに75歳以上の後期高齢者になる人の伸びが一時的に鈍るためだ。予算編成の過程で、さらにどこまで圧縮するかが焦点になる。
概算要求では多様な就労や社会参加の促進も柱の一つに掲げた。具体的には、就職氷河期世代の就職支援や助成金拡充などに653億円を計上する。最低賃金の引き上げに伴う中小企業の生産性向上支援や、不合理な待遇差を禁じる「同一労働同一賃金」の推進などにも1449億円を要求する。
一方、金融機関からお金を借りて公共の技能者育成施設に通う訓練生に対し、ローン金利を補助する制度を設ける案を検討したものの、見送った。このほか、毎月勤労統計など一連の統計不正問題を受けた統計改革の推進や、待機児童解消に向けた子育て支援策などでも予算の増額を求めた。