犠牲者全員の身元発表 京アニ放火で府警

2019/8/27 15:39 (2019/8/27 20:48更新)
保存
共有
印刷
その他

京都アニメーション放火殺人事件で設置最終日となった献花台で手を合わせる人たち(25日、京都市伏見区)

京都アニメーション放火殺人事件で設置最終日となった献花台で手を合わせる人たち(25日、京都市伏見区)

京都アニメーションのスタジオ(京都市)で起きた放火殺人事件で、京都府警は27日、亡くなった同社社員35人のうち、これまで身元を公表していなかった25人の氏名を発表した。既に10人の身元を公表しており、7月18日の事件発生から1カ月余りを経て、犠牲者全員の身元が判明した。府警は遺族感情に配慮し、親族らに説明した上で氏名を発表した。

この日身元が発表されたのは女性17人、男性8人。20~30代の若手や中堅社員が多い。同社取締役で、人気作品「涼宮ハルヒの憂鬱」のキャラクターデザインなどを手がけた寺脇(池田)晶子さん(44)も含まれる。

府警は25人の犠牲者について、実名報道や取材対応に関する遺族の意向をそれぞれ明らかにした。こうした対応は極めて異例。府警によると、25人のうち20人の遺族が実名報道を望まなかった。

事件は7月18日午前10時半ごろ発生した。青葉真司容疑者(41)=殺人などの疑いで逮捕状=がスタジオ入り口正面から侵入し、ガソリンをまいて放火したとされる。スタジオ内には発生時、20~61歳の社員70人がおり、男性14人、女性21人が死亡した。34人が重軽傷を負った。1人は無事だった。

青葉容疑者も犯行時にやけどを負って大阪府内の病院に入院している。府警は容体回復を待って逮捕し、動機など事件の全容解明を目指す。

府警は今回の発表に先立つ8月2日、遺族の了解が得られた22~61歳の社員10人の身元を公表した。同社取締役で初期作品の監督も務め、後輩クリエーターらの育成に尽力してきた木上益治さん(61)のほか、人気アニメ「涼宮ハルヒ」シリーズで監督を担った武本康弘さん(47)らが含まれていた。

京アニは1981年創業のアニメ制作会社。丁寧な作画と巧みなストーリー演出で知られ、国内外のアニメファンから親しまれている。社会現象化した「けいおん!」や「涼宮ハルヒの憂鬱」など数多くのヒット作品を手掛け、作品の舞台をファンらがめぐる「聖地巡礼」ブームも起きた。

25人の身元を京都府警が公表したことを受け、同社の代理人弁護士は27日、「度重なる要請や一部の遺族の意向に関わらず、被害者の実名が公表されたことは大変遺憾だ」とのコメントを発表した。

 京都アニメーションで起きた放火殺人事件で亡くなり、京都府警が27日に氏名を発表した25人の方々は以下の通り。
 石田敦志さん(31、京都府宇治市)、石田奈央美さん(49、京都市伏見区)、岩崎菜美さん(31、京都府宇治市)、大當(おおとう)乃里衣さん(26、同市)、大野萌さん(21、京都府木津川市)、兼尾結実さん(22、京都市伏見区)、川口聖矢さん(27、同区)、草野すみれさん(32、同区)、佐藤綾さん(43、同区)、佐藤宏太さん(28、京都市左京区)、鈴木沙奈さん(30、京都府宇治市)、高橋博行さん(48、同市)、武地美穂さん(25、京都市左京区)、寺脇(池田)晶子さん(44、京都府宇治市)、時盛友樺さん(22、京都市下京区)、西川麻衣子さん(29、京都府木津川市)、藤田貴久さん(27、京都市左京区)、松浦香奈さん(24、京都市伏見区)、松本康二朗さん(25、京都府宇治市)、丸子達就さん(31、京都市東山区)、宮地篤史さん(32、京都府宇治市)、明見裕子さん(29、大阪府茨木市)、村山ちとせさん(49、京都市伏見区)、森崎志保さん(27、同区)、渡辺紗也加さん(27、奈良県橿原市)。
 府警が8月2日に氏名を発表した10人の方々は以下の通り。
 宇田淳一さん(34、京都府宇治市)、大村勇貴さん(23、同市)、笠間結花さん(22、京都市伏見区)、木上益治さん(61、同区)、栗木亜美さん(30、京都市東山区)、武本康弘さん(47、京都府宇治市)、津田幸恵さん(41、京都市伏見区)、西屋太志さん(37、京都府宇治市)、横田圭佑さん(34、京都市伏見区)、渡辺美希子さん(35、京都府井手町)。
■お断り 京都府警は27日に発表した京都アニメーション放火殺人事件の犠牲者について、遺族の多くが匿名での報道を希望していると説明しました。日本経済新聞は殺人など重大事件の報道で、尊い命が失われた重い現実を社会全体で共有し、検証や再発防止につなげるために犠牲者を原則実名としています。今回も事件の重大性を考慮し、実名で報じる必要があると判断しました。遺族や被害者への取材は心情やプライバシーに最大限配慮し、節度を持って進めています。
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]