習氏は敵? 制裁後悔? トランプ氏、揺れる対中発言

2019/8/27 13:15
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【ビアリッツ(フランス南西部)=河浪武史】トランプ米大統領は26日の記者会見で「中国は取引を望んでいる。我々は合意が可能だ」と中国との貿易交渉の早期妥結に強い意欲を示した。市場では株価が持ち直すなどトランプ政権の動きに一喜一憂するが、米中の貿易戦争の解決の道筋はみえない。トランプ氏が明らかにした両国の電話協議を中国が否定するなど、迷走が続いている。

記者会見するトランプ米大統領(26日、仏ビアリッツ)=ロイター

トランプ氏は26日、主要7カ国首脳会議(G7サミット)の会場で記者団に対して「中国との交渉を近く再開する。記者会見でさらなる声明を発表する予定だ」と表明した。ただ同日の記者会見では「中国は取引を望んでいる」と述べ、具体策は打ち出さなかった。

トランプ氏は記者会見に先立つ26日の記者団とのやりとりで「昨日夜に中国側が電話してきて、協議再開を要請してきた」と明らかにした。「近く交渉が再開されるだろう」とも述べ、膠着していた米中協議が再び進展するとの印象を強く持たせた。「新たな声明を発表する」とも話し、関税引き上げの延期についても「あらゆる可能性がある」と否定しなかった。

米中政府は23日に関税引き上げをそれぞれ表明し、ダウ工業株30種平均は前日比で一時700ドルを超える下げ幅を記録した。ただ26日はトランプ氏が協議再開を表明したことでダウ平均は反発し、前週末比269ドル高と持ち直した。

もっとも、中国外務省の耿爽副報道局長は27日の記者会見で、トランプ氏が言及した両国の電話協議について「聞いたことがない」と否定した。トランプ氏は劉鶴・中国副首相がムニューシン米財務長官に電話をかけてきたと主張したが、劉氏は中国・重慶市内での講演で、米国との貿易戦争を「冷静な態度で解決したい」と話している。劉氏の発言を聞いたトランプ氏が、講演ではなく電話協議の内容だと誤解した可能性も浮かぶ。

トランプ氏はG7会場で繰り返し記者団に中国問題を問われた。25日には「中国製品の関税引き上げを考え直すつもりがあるか」と聞かれ「もちろんだ。自分はいつもあらゆることを考え直している」と答え、メディアは「トランプ氏が制裁関税の拡大を後悔している」などと報じた。

するとホワイトハウスは直後に、トランプ氏の発言の解釈を説明する声明文を出して「大統領が考え直すかもしれないと言っているのは、関税をさらに引き上げるということだ」と主張し、メディアの報道を否定した。

23日には「大きな敵」と表現した中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席を、26日には「偉大なリーダー」と持ち上げてみせた。トランプ氏の発言は出口の見えない対中政策と同様に場当たり的で、真意や事実が把握しにくくなっている。

トランプ米政権は9月1日に半導体メモリーなど約1100億ドル分の中国製品を対象に「制裁関税第4弾」を発動する予定だ。市場ではトランプ氏が協議再開の表明に合わせて制裁発動を延期するとの観測もあったが、現時点ではそのまま15%の追加関税が課されることになりそうだ。中国の反発は必至で、トランプ氏が主張する閣僚級協議の再開がまたもや遠のくリスクがある。

26日の記者会見でトランプ氏は二転三転する発言の真意を問われたが「悪いね、これが自分の交渉の長年のやり方だ」と開き直った。ただ米中の貿易戦争の解決が遅れれば、米景気の下振れリスクが強まり2020年大統領選で逆風となる。トランプ氏の大きくぶれる発言からは、持久戦を決め込んだ中国に焦りを強める姿が見て取れる。

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