日蓮出生地の伝説調査 千葉・鴨川、観光振興に

2019/8/27 12:33
保存
共有
印刷
その他

真水が湧き続ける海底の井戸に、神秘的なタイの群れ――。千葉県鴨川市沖には日蓮宗の開祖、日蓮(1222~82年)出生の地が沈んでいるという伝説が残る。同市は日蓮生誕800年を前に新たな観光資源にしようと、専門家と調査に乗り出した。担当者は「地域に根付く偉人の謎を解き明かし、にぎわいにつなげたい」と期待する。

日蓮出生の地が沈んでいるという伝説が残る千葉県鴨川市の海を調査する東京海洋大の岩淵聡文教授(左)ら(5月、同市提供)=共同

市などによると、日蓮は同市小湊の漁村の生まれ。1276年、生家跡に弟子が「誕生寺」を創建したが、明応地震(1498年)や元禄地震(1703年)で津波を受け海に沈んだとされる。古文書には出生地の具体的な言及はない。

伝承によると、日蓮が生まれると庭先に泉が湧き、海面には誕生を祝ってタイが集まったという。地元の海士の間では今でも「海中に井戸がある」と語られ、通常より浅い海に生息する周辺のマダイを日蓮の化身と敬い、口にしない。

これまで市は生態系への影響を避けるため本格調査を見送ってきたが、影響を最小限に抑え、2年かけて調査することを決定。東京海洋大の岩淵聡文教授(海洋文化学)や日蓮の研究者に協力を求め、調査場所などを慎重に検討している。

5月には証言を基に井戸の跡地とされた複数の場所を訪れたが、岩の浸食でできたくぼみなどと判明。浅瀬の様子を上空からドローン(小型無人機)で撮影したり、船頭に聞き取ったりしたが手掛かりはつかめなかった。

漁期から外れる年明けの調査に向け、海士が潜ったことがないエリアを対象に、船から音波を使って地中に遺構がないか探す準備を進める。見つかれば文化財として保存することも検討する。

日本では水中の遺産研究は注目され始めたばかりという。岩淵教授は「地震で沈んだ集落があったと証明できれば貴重な発見だ」と意気込んでいる。

〔共同〕

日経電子版が最長2月末まで無料!
初割は1/24締切!無料期間中の解約OK!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]