インドネシア新首都、ボルネオ東部に 大統領が発表
費用3.5兆円、確保は不透明

2019/8/26 21:06
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記者会見するインドネシアのジョコ大統領(26日、ジャカルタ)=AP

記者会見するインドネシアのジョコ大統領(26日、ジャカルタ)=AP

【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシアのジョコ大統領は26日、首都の移転先にボルネオ(カリマンタン)島東部の東カリマンタン州の2つの県(日本の市町村に相当)を選んだと発表した。人口が過密で洪水など災害が多い現在の首都ジャカルタから2024年の移転開始をめざす。移転計画が動き出すが、466兆ルピア(約3.5兆円)と見込む費用の確保などハードルは低くなく、実現には不透明感もある。

東カリマンタン州のプナジャム・パセル・ウタラ県とクタイ・カルタネガラ県の中に新首都を建設する。具体的な場所は今後詰めるが、関係者によると、両県にまたがる広大な国有林「ブキットスハルト」内が有力という。

両県は「地震や洪水などのリスクが小さい」(ジョコ氏)ことや、中心都市バリクパパンや州都サマリンダにも近く、国際空港などのインフラがある程度整っていることから候補地として選ばれた。ジョコ氏は5月、ブキットスハルトを視察していた。

ジョコ氏は26日の記者会見で「(ジャカルタのある)ジャワ島とそれ以外の島々との経済格差は2001年以降に導入された地方自治でも解消されなかった」と指摘した。首都をジャカルタがある西部から東部に移すことで経済格差の縮小もめざす。

21年中にもマスタープランをまとめ、24年から段階的に移転を始める計画だ。移転するのは行政関連の機関・施設で、100万人規模の移住を想定する。中央銀行や金融庁などの経済関連機関はジャカルタに残る見通しだ。

ジャカルタには現在、約1千万人が住み、周辺自治体もあわせた広域人口は3千万人を超える。東京都の3分の1ほどの面積に人口が集中し、世界最悪レベルとされる交通渋滞や大気汚染が発生している。洪水も多く、経済損失が年々大きくなっている。一方、東カリマンタン州はジャカルタの約200倍にあたる12万平方キロメートルの広大な土地があり、開発の余地も大きい。

インドネシアは1945年の建国直後から首都移転を検討してきた。ジャカルタ郊外やボルネオ島中部などが候補地に浮かんでは消えてきた。ジョコ氏は再選を決めた大統領選後の4月末に閣議決定し、10月に始まる政権2期目の最重要政策の一つに掲げる。

国家開発企画庁が試算する約3.5兆円の移転費用のうち国家予算からの支出は2割弱にとどまる。残りは「官民パートナーシップ方式や国営企業や民間からの直接投資でまかなう」(ジョコ氏)というが、巨額資金の手当てはメドが立っていない。

公務員やその家族ら100万人を移住させる計画には住宅や学校、病院などの生活インフラの新設も必要となる。商業施設や宿泊施設なども欠かせないが、現状の素案では民間頼みだ。ジョコ氏の任期は24年に終わり、政府が長期間に及ぶ移転作業を一貫して進められるかどうかも定かではない。

東カリマンタン州のプナジャム・パセル・ウタラ県とクタイ・カルタネガラ県にまたがる国有林「ブキットスハルト」(7月)

東カリマンタン州のプナジャム・パセル・ウタラ県とクタイ・カルタネガラ県にまたがる国有林「ブキットスハルト」(7月)

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