山陰合銀、証券事業は顧客対応に特化 野村証券と提携

2019/8/27 7:33
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山陰合同銀行の本店(松江市)

山陰合同銀行の本店(松江市)

山陰合同銀行は26日、野村証券と島根県内の証券関連事業の統合を軸とする業務提携で基本合意したと発表した。2020年をメドに同行と証券子会社のごうぎん証券(松江市)、野村証券の証券関連業務を統合し、野村証券が顧客口座を一括管理する。山陰合銀は販売や顧客対応などを受け持ち、手数料収入を確保することで収益基盤の強化につなげる。

山陰合銀、ごうぎん証券、野村証券の3社は同日、証券など金融商品仲介業務の包括的業務提携に関する基本合意書を交わした。今後、関係省庁の許認可を得て19年中にも最終契約を結び、20年度上期中に提携に基づく業務を始める予定だ。

野村証券は山陰合銀とごうぎん証券の証券顧客口座の管理を継承。野村証券松江支店の個人向け口座も合わせて一体的に管理する。さらに現在約50人いる松江支店の社員の一部を山陰合銀に出向させ、同行の行員とともに営業支援業務などに従事する。

これにより同支店は地方公共団体や金融機関向けの業務だけを手掛ける形になり、名称変更も視野に入れる。ごうぎん証券は最終契約締結後、20年度上期をめどに解散の方向だ。

山陰合銀グループと野村証券は証券業務で役割分担するだけでなく、共同で商品開発やコンサルティングを実施する。将来的には法人向けビジネスについても共同展開を検討していく。

山陰合銀が野村証券とこうした広範囲な提携に踏み出した背景には、地盤とする島根・鳥取両県の人口減少や日銀のマイナス金利政策などにより収益状況が厳しくなっていることがある。

島根県では60%以上の企業がメインバンクとするなど、圧倒的なシェアを持つ一方、取引先企業の間では後継者難などによる廃業が増えている。そのため兵庫県など関西地区での法人向け融資拡大や、ビジネスマッチングによる手数料収入の確保などを進めざるをえなくなっている。

証券業務は資産形成をサポートし、顧客の囲い込みをする上で銀行にとって不可欠。山陰合銀も15年にごうぎん証券を設立して本格参入したが、手数料率の低下でかつてのような高い収益を上げるには難しくなった。野村証券との分業体制構築は同社のノウハウを取り入れてコンサルティング能力を高められると同時に、事務コストなどの削減も推進できるメリットがある。

今回の提携のスキームは業務の役割分担により、「合弁会社の設立などをせずに同じような効果が上げられる」(野村証券の新井聡副社長)という点が新しい。山陰合銀の取り組み次第では全国の地銀のモデルケースにもなりそうだ。

記者会見する山陰合銀の石丸文男頭取(中央)、野村証券の新井聡副社長(右)ら(26日、松江市の山陰合銀本店)

記者会見する山陰合銀の石丸文男頭取(中央)、野村証券の新井聡副社長(右)ら(26日、松江市の山陰合銀本店)

顧客の資産形成を支援


 山陰合同銀行の石丸文男頭取と野村証券の新井聡副社長は26日、証券事業の統合を軸とする業務提携について松江市で共同記者会見を開いた。主な一問一答は次の通り。
 ――バックオフィスでコストを削減する狙いが強いのか。
 石丸文男・山陰合銀頭取「それが全てではないが大きな要素だ。預金から投資という流れをくみ、顧客の資産形成を支援するという意味合いで証券業務をやめる選択肢はない。その中で、ある程度の利益を出していかないといけない。継続してできるやり方を検討した結果だ」
 「証券業務に関して、販売手数料も利率が下がっている。お互いが持つ資源を相互に活用することで、効率化にもつながる。野村証券のノウハウを取り入れることで、我々の金融商品の提案能力も向上する」
 ――国内初の取り組みとなるが、山陰合同銀行とやるのはなぜか。
 新井聡・野村証券副社長「長年のお付き合いのなかで、証券業務でのお互いの課題をこれまでも議論してきた。日ごろからコミュニケーションしている結果として決断できた」
 ――今回の事例が全国に波及していく可能性については。
 新井副社長「地域によって置かれている経済の状況や、各地域金融機関の考えもそれぞれ異なる。全国に波及していくことはないと思うが、このようなモデルを今後もつくっていきたいとは考えている」

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