新潟・柏崎市長、柏崎刈羽原発の一部廃炉検討を評価

2019/8/26 19:27
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東京電力ホールディングスが柏崎刈羽原子力発電所の廃炉に関して初めて言及した。東電は26日、廃炉計画の策定を要請していた新潟県柏崎市の桜井雅浩市長に同原発の一部の廃炉を検討するとした回答文書を提出した。これに対し、桜井市長は「できる限りの案を出した姿勢を評価する」と述べた。市長は1カ月後に回答文書への見解を示す見通しを明らかにした。

会談する柏崎市の桜井市長(左)と東電ホールディングスの小早川社長(26日、柏崎市役所)

東電は6、7号機の再稼働実現後、5年以内に1~5号機から廃炉検討の対象を選ぶとしている。今回の回答で桜井市長は「柏崎市レベルでは(再稼働に向けた)ステップがあがった」と位置付けた。ただ、6、7号機の再稼働に向けては、原発が立地する柏崎市と刈羽村のほかに県の同意が必要で、再稼働が早期に実現するかどうかは不透明だ。

桜井市長は東電からの回答文書を受け、「合格点ではないが、落第点ではない」と報道陣に語った。1~5号機の廃炉計画の条件として、東電には廃炉対象の「基数」「号機」「期限」のいずれかを盛り込んでほしいとしていた。「3つのうち2つは含まれていると認識している。ゼロ回答ではない」と評価した。

一方「この場で(回答文書が)合格かどうか見極めるのは難しい」とし、9月議会での議論や市民の声などを踏まえ、1カ月後に回答文書への評価を示すという。また、「(再稼働を容認するための)最終判断にはもう少し小さなステップが必要」とも強調。1.2兆円と試算されている柏崎刈羽原発の安全対策費用に関して、柏崎市にどの程度の経済波及効果があるのかなどを示してほしいと東電側に要望した。

桜井市長は2016年の市長選で、柏崎刈羽原発の再稼働を条件付きで認める考えを示して当選した。「廃炉の時代に備え、廃炉技術を産業にしていくべきだ」と主張し、廃炉技術を通じた産業活性化を訴えてきた。7基の原発が集中立地するリスクを問題視し、17年6月、6、7号機の再稼働の条件として、1~5号機の廃炉計画を策定するよう東電に要請した。

原発の再稼働に向けては、新潟県、柏崎市、刈羽村の同意を得る必要がある。すでに安全審査に合格していることを踏まえ、刈羽村は再稼働に前向きだ。

ただ、県は慎重な構えを崩していない。花角英世知事は26日、「県としては原発事故に関する3つの検証の結果が示されない限り、原発再稼働の議論を始めることはできない」との考えを改めて示した。

県が実施する3つの検証作業は米山隆一前知事が始め、花角知事が引き継いだ。柏崎市の桜井市長は検証作業について「検証委員会の開催ペースに疑問がある」と指摘。「花角知事が就任してからペースは上がったが、1年に2回くらいでは少なすぎる」と疑問を呈している。

実際、18年度の開催数は避難委員会が2回、技術委員会が3回、健康・生活委員会が4回(分科会の合計)。19年度に入ってからは、避難委員会と健康分科会がそれぞれ1回ずつしか開催されていない。

また、米山前知事が「検証作業は3~4年かかる」と見通していた一方で、花角知事は「期限は設けず、議論を尽くしてほしい」との姿勢を崩さない。検証作業がいつまでかかるのか見通せない状況が「地元(柏崎市)のマインドを冷やしている」(桜井市長)と問題視している。

今回の廃炉計画への回答で、東電は柏崎市からの再稼働容認に向け、一歩前進した格好だ。東電内では早ければ21年度にも再稼働したいとの声があがっているが、県の検証作業の行方は見通せず、県が再稼働に向けた態度を決めるまでに時間を要するのは必至の情勢だ。

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