2019年9月22日(日)

米、大統領権限で早期発効へ 対日貿易協定で特例検討

トランプ政権
貿易摩擦
2019/8/26 14:00
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25日、日米首脳会談で握手を交わす安倍首相とトランプ米大統領(ビアリッツ)=共同

25日、日米首脳会談で握手を交わす安倍首相とトランプ米大統領(ビアリッツ)=共同

【ビアリッツ(フランス南西部)=河浪武史】トランプ米政権は日本と結ぶ貿易協定で、大統領権限で早期発効する特例措置の発動を検討する。日米両首脳は25日、9月中に協定に署名すると合意した。議会への通知や承認などの手続きを大幅に省くことで、2020年の大統領選前に農畜産品の対日輸出を大幅に増やしたい狙いがある。

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日米両首脳は25日の会談で、9月下旬にニューヨークで開く国連総会に合わせて再び会談して、貿易協定案に署名する方針を確認した。トランプ米政権にとってはメキシコ、カナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)見直しに続く貿易協定の締結となり、牛肉やトウモロコシなど農畜産品の輸出拡大で大統領選に成果を誇ることができる。

米通商代表部(USTR)は日米協定を早期に発効するため、大統領権限で関税を引き下げる特例措置の発動の検討に入る。米国には大統領に貿易交渉の権限を一任する「大統領貿易促進権限(TPA)法」がある。対日交渉も同法に基づいて進めてきたが、本来は協定署名の90日前に議会にその意思を通知する必要がある。現状では9月末の署名が困難なため、特例発動を検討する。

TPA法には関税率が5%未満の品目であれば、大統領権限で関税を撤廃・削減できるなど、一部に特例措置がある。NAFTAのような大型協定には適用できないが、対日交渉は米国の自動車・同部品の関税撤廃が見送られるなど、小規模な協定となる可能性が高い。USTRは特例を発動しても連邦議会の理解は得られるとみて、議会指導部との調整に入る。

TPA法での従来の貿易協定の手続きは、署名後も経済面への影響評価などを提示するなど、議会審議に十分な時間を確保するよう義務付けている。ただ、米議会は上院の多数党は共和党、下院は民主党とねじれ状態にあり、貿易協定の審議が進みにくい。NAFTAを改定したUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)は18年11月に署名したものの、現時点でも議会審議は始まらず発効のメドが立たない。

特例を発動すれば議会の承認も不要になり、年内に日米貿易協定を発効することも可能だ。米上院で通商問題を担当する財政委員会のグラスリー委員長(共和)は、記者団に「TPA法下で、対日協定が議会の行動を必要とするとは思わない」と述べ、USTRが特例措置を求めれば容認する考えを示唆している。

トランプ大統領は20年の選挙を前に、公約としてきた通商政策で成果を求めている。NAFTA見直しは議会審議が遅れ、巨額の貿易赤字を抱える中国との貿易交渉も出口が見えない。ライトハイザーUSTR代表は25日、対日協定で70億ドルの市場拡大効果があると主張。トランプ氏は農畜産品の日本への輸出拡大で、激戦州の中西部の支持率を高められると踏む。

オバマ前政権はTPP交渉で自動車の輸入関税の撤廃を認めたが、日本に25%の自動車関税を発動すると脅しかけたトランプ政権は、対日交渉で関税の維持を勝ち取った。日米協定はUSMCAよりも先に発効する見通しが強まっており、強権的な交渉で各国に市場開放を迫ったトランプ大統領にとって、通商政策で最初の成果となる可能性がある。

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