2019年9月19日(木)

米、農業の市場拡大70億ドル 「対日協定で巨額恩恵」

2019/8/26 12:00
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【ビアリッツ(フランス南西部)=河浪武史】トランプ米政権は25日に日本と基本合意した貿易協定で、農畜産品の関税引き下げが70億ドル(約7300億円)の市場拡大効果を生むと主張した。トランプ大統領は同日、「農家にとってすばらしい合意だ」と自賛し、2020年の大統領選に向けて成果を誇った。米農業は中国向け輸出の急減などで苦境にあり、再選を最重要視するトランプ氏は成果を急いでいた。

トランプ米大統領(右)は基本合意した対日貿易協定を「農家にとってすばらしい」と自賛した(25日の日米首脳会談)=ロイター

トランプ米大統領(右)は基本合意した対日貿易協定を「農家にとってすばらしい」と自賛した(25日の日米首脳会談)=ロイター

「日本は米国の農畜産品を140億ドル輸入している。今回の合意によって70億ドルを超す市場拡大効果があるだろう」。日米交渉を主導した米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は25日にこう主張した。

米農畜産事業者は米政権が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱したことで日本市場では劣勢にある。日本の輸入牛肉の米国産シェアは首位のオーストラリア産との差がつきつつあり、豚肉も足元ではカナダなどTPP参加国に押されて劣勢が続く。

対日協定が発効すれば、農畜産品の日本での関税率はTPPと同水準になる見込みだ。米農業団体は25日に相次いで「トランプ政権が対日交渉に優先的に取り組んだことに感謝する」(米国食肉輸出連合会)などと歓迎した。米国豚肉生産者協会は「対日協定によって公正な競争環境に戻れる」と主張した。

トランプ氏は25日、安倍晋三首相に急きょ公式発表の場を設けるよう求め、会談から3時間たった同日午後に突如、記者団の前に現れた。

対日協定の大枠合意の確認だけでなく、安倍首相に「トウモロコシの輸入拡大を決めたことを話したらどうか」と促し、首相は日本が緊急措置として米国産トウモロコシの購入を前倒しすることを表明した。トランプ氏はその後のツイッターにも「大きなトウモロコシのディールになった」と書き込み、農産物の輸出拡大に固執していることがはっきりとした。

トランプ氏は中国との貿易交渉が膠着状態に陥り、米農畜産品の対中輸出が急減していることに不安を募らせる。18年の米農畜産品の対中輸出は前年比53%も減り、19年1~6月も前年同期比20%減った。とくにトウモロコシはアイオワ州など大統領選の激戦州が一大産地で、大統領選に影響が出かねない。

トランプ政権はオバマ前政権がTPP交渉で段階的な撤廃を認めた自動車関税の維持も勝ち取った。大統領選に向けアピール材料としたい考えだ。

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