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米韓、主張にズレ 日韓軍事協定破棄で

韓国はGSOMIA破棄の決定に際して「米国の理解を得た」と説明するが、トランプ政権は「強い懸念と失望を表明する」と不快感をあらわにした

【ワシントン=永沢毅、ソウル=恩地洋介】韓国政府は23日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を日本政府に通告した。協定は11月23日午前0時に失効する。韓国は決定に際して「米国の理解を得た」と説明してきたが、維持を働きかけてきたトランプ米政権は「強い懸念と失望を表明する」(国防総省)と不快感をあらわにした。米政府当局者には韓国の離反が加速し、中国や北朝鮮を利するのを警戒する声も出ている。

「韓国には、今回の決定は米国や同盟国の安全保障に悪影響を与えると繰り返し伝えてきた」。米国務省は22日の声明で、米韓の国家安全保障会議(NSC)間の協議で米国の理解を得ていたとする韓国側の説明を全面否定した。

これに対し、韓国の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長は23日の記者会見で「米国がGSOMIAの継続を希望してきたのは事実だ。希望通りにならず失望したのは当然だ」と述べ、これまでの見解を軌道修正した。同時に「韓米同盟は弱化どころか、堅固にすべく努力する」と強調した。

米国が同盟国に対し異例とも言える強い表現を用いたのは、米政権高官が韓国に協定の維持を含めた日米韓協力の重要性を繰り返し訴えてきたことがある。7月下旬にボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)、8月上旬はエスパー国防長官が相次ぎ訪韓。ポンペオ国務長官もバンコクでの国際会議にあわせ、康京和(カン・ギョンファ)外相と会談した。

米国は当初、対立を深める日韓への介入に及び腰だった。それが一転したのは7月、日本の輸出管理厳格化への対抗措置として、GSOMIAの見直し論が韓国政府内に浮上したためだ。GSOMIAは北朝鮮によるミサイル発射など朝鮮半島有事の際、円滑な対応に不可欠な枠組みだ。

韓国によるなりふり構わぬ日本への揺さぶりに「この関係が壊れれば、米国の利益も危険な状態にさらされる」(国務省高官)と危機感を募らせた。だが最終的に韓国は米国の要請を振り切った。

関係者によると、韓国政府内でも国防省は協定の維持を望んだが、大統領府の対日強硬派の主張が通ったという。韓国メディアによると、エスパー氏は23日、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相から電話で協定終了の説明を受けた際、情報交換が制限されることに懸念を示した。

「今回の決定は、私たちが直面する北東アジアの安保の課題について文在寅(ムン・ジェイン)政権の深刻な思い違いを反映している」。米国務省は声明で、米韓の認識の違いを辛辣に指摘した。

一つは北朝鮮だ。南北関係改善を悲願とする文政権は南北経済協力に前向きで、非核化の手法でも北朝鮮が求めている非核化措置を取るごとに見返りを受ける「段階的な非核化」に理解を示す。経済制裁の効果を薄めるとしてトランプ政権はいずれも否定的だ。

もう一つは中国の存在がある。米国は対中抑止の柱に「インド太平洋戦略」を掲げ、日本やオーストラリアとともに韓国に協力を求めている。だが韓国は中国に気兼ねして協力には慎重で、米国には文政権への不信が募っている。

中国外務省の耿爽副報道局長は23日の記者会見で「軍事安全協力を対外的に展開するか、終結するか(の決定)は主権国家の自主的な権利だ」として、韓国の決定に注目していると述べた。

米政府当局者には今回の動きを契機に、韓国の米国離れが加速する展開を懸念する声が強い。不発に終わった米の仲介努力は、力を増す中国の陰で米国のアジアでの影響力が陰りつつある状況を映し出す。

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