2019年9月18日(水)

「600円」歯ブラシ、新鋭工場で量産し中国へ エビス

2019/8/25 18:00
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奈良県大和郡山市に歯ブラシメーカー、エビスの本社工場がある。主力の「プレミアムケア」は毛穴を増やして歯との接触面積を広げ、磨き残しを減らした高単価の商品だ。最新鋭の同工場はフル生産が続いており、乾正孝社長はさらに増産体制を整えて中国を開拓したいという。

中国では量販店などでプロモーション活動を展開してきた(上海)

中国では量販店などでプロモーション活動を展開してきた(上海)

まだ新しい本社工場の1階で、歯ブラシの持ち手とヘッドが一体で成型加工されている。ラインに沿って進むと、画像センサーで微細な傷などをチェック。そこを通ったものは立体式の自動倉庫に送り込まれて保管される。その後、上層階に運ばれ、植毛加工。最後にスタッフの目視検査を経て包装される。

1年間の生産量は8千万本。同社の経常利益率は10%あり、生産効率の高い工場が武器だ。

乾社長は「2016年の完成で生産能力を40%増やしたが、プレミアムケアの販売が伸び追いつかない」と話す。隣接する物流設備を取り壊し、建屋の増設を決めた。21年に稼働する予定で、年産能力は1億本程度に増える。

歯ブラシ生産は関西の地場産業で、アジアへの輸出が増えている。近畿2府4県からの輸出をみると、18年に25億円となり11年連続で伸びた(大阪税関調べ)。高品質、豊富な品ぞろえが支持されている。

エビスは香港の営業拠点を足がかりに10年から中国の開拓を進めてきた。売上高に占める輸出比率は19年5月期で10%ある。

けん引役がプレミアムケアだ。日本での販売価格は1本300円程度。これに対し、中国では関税や輸送費が上乗せされ、店頭で円換算にして600円程度になる。数十~百円程度の現地製に比べて高級品だが、それでも売れている。

経済成長による所得向上に加え、店頭での宣伝など地道な販売活動が実を結んだ。富裕層の多くが集まる都市部のスーパー、ドラッグストアで特設コーナーを設け、スタッフを配置してプレミアムケアの使い心地やメリットなど、丁寧な商品説明を続けた。

乾社長は「訪日した人からお土産でもらった消費者がリピーターになっている」とも語る。本社工場の増設で生産能力が高まれば、輸出比率が2割程度まで上がるとみている。

米中貿易戦争が激化して間接的な影響を受けるのではないかと懸念している。乾社長は「歯ブラシは日用品。現時点で中国向け輸出に影響は出ていない」と話すが景気悪化、個人消費低迷の不安はぬぐえない。

広東省に07年に開いた現地工場の活用が課題だ。洗濯ばさみや、日本の量販店向けのプライベートブランド歯ブラシを扱っているが、生産量は少ない。市場動向を見ながら普及品(100円程度)の現地生産に踏み切る可能性もある。

 会社概要 1896年、大阪市内の化粧品・小間物問屋からスタートして金型から樹脂成型、植毛まで一貫生産する歯ブラシメーカーとなった。2019年5月期の売上高は77億円。国内の自動化工場が武器。

(東大阪支局長 苅谷直政)

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