2019年9月20日(金)

福岡・天神と博多駅周辺で再開発加速 規制緩和テコ
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地域総合
2019/8/25 11:00
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福岡市の繁華街、天神地区とJR博多駅周辺で再開発が加速している。福岡空港から近い両地区は航空法でビルの高さが制限されていたが、国家戦略特区の特例などを活用し、制限を緩和。オフィスやホテルが不足するなか、投資マネーを呼び込み、老朽化ビルの建て直しを促すのが狙いだ。

「博多駅は九州の玄関口。産学官一体で次のステージへ大きく飛躍させるチャレンジだ」。5月29日、博多駅周辺の再開発計画「博多コネクティッド」の発表会見で高島宗一郎市長は強調した。

博多コネクティッドは博多駅を中心に半径500メートルの地域のビルを建て替える場合、容積率を従来より最大50%上乗せする。対象は1975年以前に建てられた6階以上、延べ床面積3千平方メートル以上の建物だ。

周辺のにぎわい創出に貢献する広場などの設置が条件だが、古いビルをより広く、高くできるようにし、10年間の期間限定で20棟の建て替えを目指す。福岡アジア都市研究所(福岡市)の試算によると、計画通りに進めば延べ床面積が1.5倍、雇用者数は1.6倍になる。経済効果は5千億円に上るという。

博多駅は以前、現在の位置から600メートルほど北西にあった。1963年の移転で3代目駅舎周辺の開発が進み、西側の博多口を中心にオフィス街が発展する。2011年には新駅ビルの「JR博多シティ」が開業し、商業の街としての色彩も強くなった。ただ、東側の筑紫口は西に比べて人通りが少なく、にぎわいは駅の東西で温度差がある。

中心地から半径500メートル、街づくりへの貢献度に応じた容積率緩和――。計画は福岡市が15年に打ち出した九州随一の繁華街・天神地区の再開発事業「天神ビッグバン」を踏襲している。天神は百貨店などが集中する商業の街だが、博多駅周辺と同様に老朽化ビルが多い。福岡空港を離着陸する旅客機が上空を通過するため、ビルの高さも制限されてきた。

高島市長は国に働きかけて国家戦略特区の認定を得て、規制緩和にこぎつけた。結果として民間投資を呼び込み、1月に第1号物件として複数のビル跡地の一体開発で大型複合ビル「天神ビジネスセンター(仮称)」の建設が始まった。7月には旧大名小学校の跡地に建設する25階建ての大型ビルも着工した。

市が2つの繁華街の再開発を急ぐ背景には、オフィスとホテルの慢性的な用地不足がある。オフィスビル仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると、7月の市内中心部のオフィス空室率は1.82%と東京都心並みだ。市はアジアに近い立地を生かしてグローバル企業を誘致しようとしているが、大規模オフィスの供給不足が課題となっている。

宿泊施設では欧米の富裕層を受け入れられる高級大型ホテルが不足気味だ。現在ある5つ星ホテルは「グランドハイアット福岡」やヒルトン福岡シーホークなど。大名小学校跡地のビルには「ザ・リッツ・カールトン」が入居する予定だが、受け入れ体制を拡充するには、再開発による広い用地が必要になる。

かつて「那の津」と呼ばれた博多港を有する福岡市は、古くから国内外の船が往来する国際都市だった。規制緩和をテコに再び海外からヒト・モノ・カネが集まる魅力を生み出せるか、2つの繁華街の変貌に期待がかかる。(西部支社 山田和馬)

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