2019年9月24日(火)

ネタニヤフ氏、パレスチナ併合承認を米に要求 9月総選挙

2019/8/23 15:03
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【チュニス=飛田雅則】イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ米政権に対し、パレスチナの一部併合の承認を求めていく方針だ。9月17日に投票予定のイスラエル総選挙で、右派の有権者による与党への支持拡大を狙う。トランプ政権は総選挙後、イスラエルとパレスチナが軸の新たな中東和平案を公表する見通しだ。イスラエルの新政権の枠組みは同案の内容を大きく左右しそうだ。

イスラエルのネタニヤフ首相(右)はトランプ米大統領との親密さを前面に押し出す(3月、米ホワイトハウス)=AP

イスラエルのメディアは23日までに、首相府高官の話として、ネタニヤフ氏がトランプ氏に、ヨルダン川西岸の土地の一部についてイスラエルによる併合を認めるよう求める意向だと報じた。この意向はすでに米側へ伝えられた可能性がある。

西岸はパレスチナ自治区の大半を占める地域を指す。イスラエルが1967年の第3次中東戦争を経て占領した。94年にパレスチナ自治政府の統治が始まったが、イスラエルが多くの入植地を維持する。ネタニヤフ氏は総選挙後に首相を続投する場合、西岸の約1割にあたる245カ所の入植地を併合する考えを表明済みだ。これが承認要求の骨格だと考えられる。

イスラエル有力紙ハーレツの最近の調査では同国のユダヤ人の4割強が西岸併合を支持する。与党の右派リクードを率いるネタニヤフ氏は対パレスチナで強硬姿勢を打ち出し、保守層の票の上積みを目指す。一方、総選挙で対峙する中道野党連合「青と白」を主導するガンツ元軍参謀総長はパレスチナに対し、話し合いで和平を実現する姿勢を示したことがあり、比較的穏健だとみられる。

トランプ米政権は3月にも、イスラエルの求めに応じ、同国の主権をゴラン高原について承認した。同高原は第3次中東戦争でイスラエルがシリアから奪い、国連安保理はイスラエルの主権を認めない決定をしている。

イスラエルでは4月に総選挙が実施された。だが、一院制の国会(定数120)招集後、第1党のリクード中心の右派・宗教系の6党(計65議席)による連立協議が決裂し、9月の再選挙が決まった。最大の焦点は、48年のイスラエル建国以来、同国首相としての通算在任期間が最長のネタニヤフ氏が続投できるかどうかだ。同国の有力民間テレビ「チャンネル13」が15日に公表した予想獲得議席数では、リクードと「青と白」が共に31で首位を分け合っている。

決裂した連立協議ではリーベルマン元国防相の極右「わが家イスラエル」が敬虔(けいけん)なユダヤ教徒の兵役免除の廃止を求め、宗教政党と対立した。連立の不成立による再選挙はイスラエルで初めて。

新政権の枠組みは、米国がネタニヤフ政権との協議を通じ準備してきた新たな中東和平案の内容にも影響する。同案は2本立て。米国は6月に公表した経済分野でパレスチナ支援策を示した。政治分野の発表はイスラエルの再選挙後に持ち越す見通しだ。イスラエルにも譲歩を求める内容とみられ、投票前に公表されるとネタニヤフ氏に逆風となりかねないためだ。

ネタニヤフ氏が首相続投に成功しても、右派・宗教系をまとめる過程でパレスチナへ一段と強く出るかもしれない。一方、野党連合が政権を奪えば対パレスチナ政策はある程度、見直される公算が大きい。いずれにしろ和平案の内容に関わる。

ネタニヤフ氏は汚職疑惑を抱えたまま選挙戦に臨む。検察当局は10月初旬、ネタニヤフ氏の起訴の可否を最終判断するため、同氏から意見を聞く見通しだ。選挙後の連立協議の最中になるとみられる。ここで起訴が決定すれば、リクード中心の政権づくりに異論が出ることは考えられる。政局が再び流動化すれば、組閣が遅れ、和平案の成否は見通しにくくなる。

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