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豊島逸夫の金のつぶやき

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ジャクソンホールからの前奏曲、タカ派的音色も

2019/8/23 9:33
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22日米ニューヨーク(NY)市場には、ジャクソンホールでの米連邦準備理事会(FRB)地区連銀総裁たちのテレビインタビューが相次いで流れた。まず、筋金入りのタカ派とされるエスター・ジョージ・カンサスシティ連銀総裁。「7月の利下げは不必要であった。今は緩和するときではない。現段階で米国経済は2%程度の成長で十分だ」これは想定内のタカ派的発言だ。次に登場したのが、パトリック・ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁。「私は7月米連邦公開市場委員会(FOMC)で渋々利下げに賛成したが、次回については、まだオープンだ」

この発言が流れた直後は、債券市場で、政策金利と最も相関が強いとされる2年物国債が売られ短期金利が急反騰した結果、またもや10年債と2年債の利回り逆転現象が発生した。この逆イールド再発を受け、NYダウは瞬間的に前日比マイナス圏に一時的に急落した。

先走りして9月利下げを織り込んだ市場が、いかに神経質になっているかを示す一幕であった。本番のパウエル講演次第で生じうる市場混乱の予告編を見た思いだ。なお、筆者が注目したハーカー氏発言は「私は企業幹部たちと対話しているが、彼らは、金利が下がったから設備投資を増やすような状況ではない。彼らが心配しているのは、金利ではなく、通商摩擦問題だ」とのくだり。そこで、金融当局としては、ただでさえ利下げ余地は2%程度しか残っていないのだから、金利という政策手段は急いで使わず、貿易摩擦の行方を見守るべきだ、との姿勢のようだ。

3人目は、ダラス連銀のロバート・カプラン総裁。「私は7月利下げには賛成した。9月については、これ以上動くことは回避したいが、リスク管理の観点から、9月までの展開を見守りたい」。ジョージ氏やハーカー氏に比し、柔軟な姿勢を強調したが、想定よりタカ派的ニュアンスを含ませる表現であった。

7月のFOMC議事要旨では、ジョージ総裁とエリック・ローゼングレン・ボストン連銀総裁が「利下げ反対者」と記されていた。さらに、同要旨には、「数名=several」の参加者が金利据え置きを支持したとの一節がある。ということは、議事録に名前が記されたジョージ総裁とローゼングレン総裁以外にも、複数のタカ派がいたことになる。そのなかの一人はハーカー総裁なのか。市場には推測が飛び交う。

いずれにせよ、FOMC内の分裂が確認された。このような状況下では、パウエルFRB議長がジャクソンホールで多くを語ることはできまい。前回記者会見で述べ、議事録でも確認された「7月利下げは中盤の政策調整」という発言が繰り返され、「必要ならば適宜行動する」という枕ことばで締める。7月FOMC翌日にトランプ大統領が対中10%追加関税を電撃発表しているので、経済見通しは、通商摩擦による下振れリスクの高まりが指摘されよう。とはいえ、市場が期待するほどのハト派的トーンで語るには時期尚早。これが、ジャクソンホールから聞こえてくる前奏曲から想定されるパウエル講演である。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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