2019年9月19日(木)

米・タリバン、アフガン和平協議「停戦宣言」焦点

トランプ政権
南西ア・オセアニア
2019/8/22 19:24
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【ワシントン=中村亮、ニューデリー=馬場燃】2001年に始まったアフガニスタン戦争で、米国とアフガンの反政府武装勢力タリバンの和平協議が詰めの段階を迎えている。駐留米軍の撤収時期では歩み寄りつつある。停戦宣言まで大筋合意できるかが焦点だ。米議会では早計な米軍撤収はテロ組織の台頭を許すとして、トランプ政権の判断を警戒する。

トランプ米大統領は20年の大統領選に向けて米軍のアフガン撤収に意欲を見せる=AP

米メディアによると、国務省のハリルザド・アフガン和平担当代表は22日からカタールの首都ドーハでタリバンとの9回目の協議に臨む。同氏は米国出発に先だち「残った課題の合意を目指す。我々の準備はできている」とツイッターに書き込んだ。タリバンとの協議後にはアフガンの首都カブールを訪れ、アフガン政府に交渉内容を説明する見通しだ。

トランプ米大統領は20年の大統領選に向けて成果を求め、交渉を急ごうとしている。21日には記者団に「米国はアフガンから7000マイルも離れている」と強調。ロシアやイラン、イラク、トルコなどをあげて「どこかのタイミングで彼らが戦うべきだ」と指摘し、米軍撤収に意欲をみせた。トランプ氏は16日に静養先にボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)やポンペオ国務長官を集め、タリバンとの交渉の戦略を練った。

米・タリバンは米軍撤収の方向性では歩み寄っている。関係筋によると、タリバンは交渉終了から8カ月後の撤収を当初求めたが米国が反対したため14カ月後に譲歩。米メディアによれば、米政権は18~24カ月間で段階的に縮小し撤収すると主張して、溝は徐々に埋まっている。アフガン駐留の米軍は一時10万人に達したが、現在は1万4000人まで減っている。

米政権は撤収条件としてタリバンによるアフガン全土での停戦宣言をあげる。一気に和平の機運を高める狙いだ。

タリバン側は米軍撤収の実現前に全土停戦をすれば、米国が合意を破った際に再武装が難しくなるとして反対する。タリバン交渉筋によると、前回の協議終盤で米国が全土停戦を持ち出したことから、まとまらなかったという。

米国はアフガンがテロ組織の温床になることを警戒し、タリバンに国際テロ組織アルカイダや過激派組織「イスラム国」(IS)との関係断絶も求めている。タリバンは前向きな姿勢を示すが、宗教上のつながりもあって完全な断絶は難しいとの見方がある。断絶の検証も米国にとって課題だ。将来のアフガンの統治体制についてはアフガン政府とタリバンの直接交渉に委ねられるが、道筋はみえない。

米議会では、米軍の早期撤収に反対論がある。トランプ氏に近い与党・共和党のリンゼー・グラム上院議員は「アフガンで米国のテロ対策能力を認めないものは和平合意と言えない」とけん制する。パネッタ元国防長官も米メディアのインタビューで、テロ根絶の保証なく米軍撤収を決断すれば「米国への攻撃拠点を構築するようテロリストに公開招待状を送るようなものだ」と懸念する。

カブールの結婚式場では17日にISによるとみられる自爆テロで80人が死亡した。治安回復にはほど遠い状況だ。米国防総省も21日、米兵2人がアフガンで死亡したと発表した。

トランプ氏主導の米軍縮小は、裏目に出つつあるケースもある。米国防総省の監察官は8月上旬、シリアでISに復活の兆しがあるとの報告書をまとめた。米軍縮小に伴って、ISとの戦闘に支障が出ていると指摘した。オバマ前政権もイラクからの撤収を急いでISの台頭を招いた苦い経験があり、アフガンがテロの温床として残るリスクがある。

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