鮎川麻弥「エルガイム」から35年 苦悩と復活の歩み

文化往来
2019/8/28 6:00
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アニメ「機動戦士Ζガンダム」(1985~86年)のテーマ曲「Ζ・刻をこえて」で知られるシンガー・ソングライターの鮎川麻弥(まみ、58)。デビュー35周年を記念し、ベストアルバム「35th Anniversary Best~刻をこえて~」を発表した。

「若い頃にあまりできなかったから、もっとライブがしたい」と張り切っている

「若い頃にあまりできなかったから、もっとライブがしたい」と張り切っている

「ここまで歌えたことに、感謝しかない」と繰り返す。起伏に富んだ芸能生活を送ってきたからだ。84年にガンダムと同じ富野由悠季が手掛けたアニメ「重戦機エルガイム」の後期オープニングテーマ曲でデビュー。その後、洋楽をカバーした「愛はロマネスク」などがヒットし、活躍の場が広がるかと思った矢先につまずく。

90年代半ば、所属していた芸能事務所がマネジメント業務から突然撤退。レコード会社の契約も打ち切られ「いきなりフリーになった」。日本では、フリーで芸能活動を続けていくのはハードルが高い。

悩み抜いたすえ「私には歌しかない」という答えにたどり着き、CMに活路を見いだした。ビールに納豆、胃腸薬。200作にのぼるCMで歌を吹き込んだ。自作自演のシンガー・ソングライターは自我をどれだけ表現できるかに心を砕くが、CMはそれとは正反対の世界。個性は消し、スポンサーの注文に応えなければならない。もっとも、それが功を奏したという。「『もっとかわいく』『爽やかに』『民謡っぽく』。現場によって注文が違う。引き出しが増え、歌の肥やしになった」

2000年代に入ってアニメソングのファンが急増し、ガンダムシリーズでも熱心な支持者が多い「Zガンダム」を歌っていたことで再び光が当たる。山あり谷ありでたどり着いた35周年だけに感慨は深い。今作は自らレコード会社に企画を持ち込んだ。選曲は投票で決め、ファンへの思いを詰めたオリジナル曲も収録。「わたし今からなんじゃないかと思うぐらい、充実している」と笑顔を見せた。

(諸岡良宣)

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