利下げによる通貨安競争に警鐘、IMF

米中衝突
2019/8/22 17:54
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国際通貨基金(IMF)は21日のブログで、利下げによる通貨安競争の広がりに警鐘を鳴らした。自国通貨安を誘導しても貿易収支の改善効果は限られる一方、「国際金融システムの秩序に悪影響を及ぼす」として、各国に自制を促した。

IMFは通貨安競争の回避を呼び掛けている=ロイター

「近隣窮乏化政策への懸念と通貨戦争の恐れを引き起こしている」。IMFはブログで世界で相次ぐ金融緩和に対する警戒感を強調した。米中貿易戦争で世界経済の先行き不透明感が強まるなか、米連邦準備理事会(FRB)が7月末に10年半ぶりの利下げに踏み切るなど、各国の中央銀行は金融緩和競争の様相も見せ始めている。

利下げなどの金融緩和策の主眼は内需の刺激だが、投資先としての魅力が薄れることなどから通貨安にもつながる。トランプ米大統領はドル高が米輸出に悪影響を及ぼしていると主張しており、FRBに追加利下げを求めている。

IMFは利下げなどの金融緩和で「持続的な貿易収支の改善をもたらすほど自国通貨が切り下がるという見方を過度に信じるべきではない」と指摘。仮に貿易赤字国が10%の通貨安を誘導しても、貿易収支の改善は国内総生産(GDP)の0.3%程度にとどまるとの試算を紹介した。

トランプ米政権による対中関税の引き上げを巡っても、貿易収支の不均衡を是正しないばかりか、投資の減少やコスト増によって国内外の成長を妨げると批判した。貿易赤字国と黒字国の双方が高関税や金融緩和などに頼らずに構造改革に取り組む重要性を強調した。

赤字国の米英には、財政赤字の削減や輸出産業の競争力強化を、黒字国のドイツや韓国にはインフラ投資の拡大などを求めた。中国には官民が抱える高水準の債務の削減や国有企業改革、国内市場の一段の開放や貿易障壁の撤廃に取り組むよう求めた。

ブログの筆者はチーフエコノミストのギタ・ゴピナス氏ら。24日に南仏ビアリッツで先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開幕するのに合わせ、建設的な議論を促したいとの思惑もありそうだ。

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