サムスンが新型ギャラクシー 米中貿易摩擦で漁夫の利

BP速報
2019/8/22 12:21
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日経クロステック

韓国サムスン電子(Samsung Electronics)は、「Galaxy史上もっとも偉大なパワー」をキャッチフレーズにしたスマートフォン(スマホ)、6.3インチの「Galaxy Note10」(以下、Note10)と6.8インチの「Galaxy Note10+」(以下、Note10+)の予約販売を2019年8月に韓国で始めた。グローバル市場ではLTEか5Gかを選択できるが、韓国市場では5Gモデルのみ販売する。

Galaxy NoteシリーズとGalaxy Sシリーズ(写真:サムスン電子のプレスリリース)

Galaxy NoteシリーズとGalaxy Sシリーズ(写真:サムスン電子のプレスリリース)

Galaxy Noteシリーズは、大画面に「Sペン」という名前の電子ペンがセットになっているのが特徴である。販売台数は17年発売の「Galaxy Note8」が1100万台、18年発売の「Galaxy Note9」が960万台と同社のSシリーズよりは少ないが、韓国ではコアなファンが多いハイエンドスマホである。

今回のNote10シリーズは前面カメラのレンズ部分以外、全てをディスプレーにした「Cinematic Infinity Display」を採用しており、画面比率はNote10が93.7%、Note10+が94.2%と、前機種の89.5%を超えた。Dolby Atmos(ドルビーアトモス)のサラウンドサウンド、大容量ダウンロード、ハイスペックゲーム、高画質ストリーミングなど、どのようなアプリやコンテンツもサクサク利用できる。「Galaxy Note7」の2次電池発火事故以来、ユーザーがもっとも気にしている電池容量はNote10が3500mAh、10+が4300mAhで、韓国サムスンSDIと韓国LG化学の電池を搭載した。

電機業界として注目すべき最大の特徴は、世界初となる、極端紫外線リソグラフィー(EUV)による7nm世代プロセスで製造した同社のアプリケーションプロセッサー「Exynos 9825」を搭載したことだろう(販売地域によっては米クアルコムの「Snapdragon 855 SM8150」を搭載している)。Exynos 9825は新しいプロセスを採用したことで、18年11月に公開した従来品「Exynos 9820」に比べてパフォーマンスが20~30%、電力効率が30~50%向上したという。Exynos 9820に続き、人工知能(AI)とAR(拡張現実)処理のためニューラルプロセッシングユニット(NPU)を内蔵した。8K、30フレーム/秒の解像度に向けた動画エンコーディングとデコーディングに対応、映像符号化は10ビットのH.265/HEVCにも対応した。

19年7月に日本がEUV用レジストの輸出管理を強化したため、Exynos 9825の量産計画に支障が出るのではないかとの噂もあったが、問題ないようだ。EUVは次世代半導体の核心技術であり、サムスン電子は19年9月までに華城(ファソン)キャンパスにEUV専用ラインを完成させ、20年1月に量産を開始するとの計画を発表済みである。同社は30年までに133兆ウォン(約1兆1400億円)を投資し、非メモリー半導体でのシェア世界1位獲得を目指しているが、そのためにもEUV工程は欠かせないという。

■米中貿易摩擦でサムスンが漁夫の利

サムスン電子が半導体の新たな成長のけん引役として期待を寄せているのが、5Gだ。同社の報道資料をみると、スマホと通信設備、半導体と、5Gの全てを保有しているのは同社しかないという強みを生かし、当面は韓国と米国、ヨーロッパの5G市場をターゲットにするとしていた。そこから市場シェアを伸ばし、他の国でも5Gビジネスのチャンスを増やしていくという流れだ。

19年8月13日には、ネットワーク事業部の19年4~6月の売上高が同社史上最高の1兆6000億ウォン(約1400億円)を超え、世界の5G通信設備市場では19年1~3月にシェア1位を獲得したと発表した。5G通信設備1位といえば中国華為技術(ファーウェイ)だったが、バックドア疑惑により多くの国がファーウェイの設備を採用しない方針を決めたことで、サムスン電子が漁夫の利を得た。

中国での低価格スマホ市場が伸びたことでハイエンドスマホ市場は低迷気味だったが、5Gの普及と共に生き返るとサムスン電子は見ている。5Gモデム統合型のスマホ向けチップセット「Exynos 9630」も開発しており、いわゆる「お手頃価格帯」のスマホ「Galaxy A」シリーズに20年以降、搭載予定とする。

サムスン電子は、悲願だった非メモリー半導体事業の拡大を着々と進めており、対韓輸出管理の影響を受けている様子はない。19年8月12日には、世界初となる1億画素超えのスマホ向けCMOSイメージセンサー「ISOCELL Bright HMX」を発表した。カメラ用並みの1億800万画素で、同社は中国のスマホ大手小米(シャオミ、Xiaomi)と技術協力して開発した。シャオミのスマホに搭載するとしており、19年8月中に量産を開始するとしている。イメージセンサーの世界市場シェアはソニーが圧倒的1位で、サムスン電子は2位である。シェアを伸ばすためシャオミと手をつないだわけだ。自動運転車向けのイメージセンサー、さらには触覚や嗅覚などのセンサーにも力を入れるという。

(ライター 趙章恩)

[日経 xTECH 2019年8月21日掲載]

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