2019年9月15日(日)

札幌のTAKE、民泊物件 ギャップで勝負
(我が社のストラテジー)

北海道・東北
2019/8/21 19:56
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TAKE(札幌市)は民泊の物件選定から運営まで一貫して手掛ける。マンションや戸建て物件を宿泊用に貸す民泊は新たな宿泊手段として、札幌市内を中心に物件が急増している。同社の部屋の特徴は外観と内装とのギャップ。想像を超える部屋を用意して顧客の心をとらえる手法で、1カ月に5~10件ずつ物件を拡大させている。

築35年の物件でも内装にこだわって高級感を演出する(TAKEの民泊物件)

創業した2011年当時はリフォーム工事が専門だった。武山真路会長が独立前に勤務していた住宅販売、リフォームの会社のノウハウを生かして起業したものの、知名度不足は否めない。補助金が充実していた太陽光発電設備の販売に進出し、大阪と岡山に営業所を出すまでに成長した。

4年前、太陽光向け補助金の縮小や買い付け価格の低下から限界を感じていたところに飛び出したのが、民泊解禁のニュース。現在は札幌市内で約120件、都内の物件なども合わせて約160件を経営。うち4割程度が自社の所有物件だ。

物件は新築より中古物件が中心で、築20年以上が経過した建物も多い。とはいえ、部屋づくりは同社の生命線。家具や壁紙の張り替えにとどまらず、間取りから変更する「フルリノベーション」と呼ばれる大規模な改装をほどこすこともある。

「ここまでの部屋づくりは(他社では)ない」と武山会長は胸を張る。訪日外国人(インバウンド)需要が好調な今は、物件あたりの収益も賃貸の場合の約4倍を稼ぎ出す。収益性のよさに加え、オーナーの利益にも目を配る丁寧な対応で固定客を増やしてきた。

TAKEを通して民泊用物件を運用している会社員の男性(40)は「オーナーへの対応が良い。収益もプラスになっている」と満足そうに話す。他社と見比べ、TAKEの取り組みが丁寧だと感じて決めたといい、所有する物件の稼働が好調なことから2軒目の委託も検討しているという。

ゴミ出しや深夜まで騒ぐといった宿泊者のマナー違反や、犯罪の温床となるというマイナスイメージが民泊にはつきまとう。イメージ払拭のため、同社は近隣住民に3回あいさつに行く。武山会長は「事前にしっかり不安を取り除いてあげることが大切」と強調する。

北海道内の民泊は18年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行から1年で約2000件増加した。宿泊業や不動産業に関わりのなかった事業者の参入も増加。トラブルが起きたらやめればいいというような腰掛け参入も後を絶たない。

4月、札幌市内の民泊事業者らが中心になり、利用者や近隣住民とどう共生するかを考える協議会が結成された。「(民泊物件に)近所には来てほしくない」という住民の拒否反応は消えていない。理解を得るための不断の努力が欠かせない。

          ◇

▼北海道の民泊 民泊は18年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行で合法的に営業できるようになった。北海道は日本屈指の民泊先進地域で、道内の登録住宅数は2400件を超える。道内の約8割が集まる札幌市は全国の市区町村の中で2番目に多い登録数があり、1923件の民泊が集まっている。

大人数での宿泊も可能で、訪日外国人客を中心に人気を集めている。一方で、近隣住民との騒音トラブルや民泊の住所を麻薬の送り先に指定するなど犯罪の温床になっているとの指摘もある。トラブルを防ぐため、自治体が独自の規制を課しているケースもある。

(荒川信一)

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