現代能「マリー・アントワネット」をパリで上演

2019/8/27 6:00
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悲劇のフランス王妃を題材にした現代能「マリー・アントワネット」が10月8日、パリのオペラ・コミックで上演される。アントワネット役を勤める観世流能楽師の人間国宝、梅若実は制作当初からフランスでの上演を構想。「観客がどういう反応をするか怖い気持ちもあるが、この作品はフランスで上演することに意義がある」と話す。オペラ・コミックは生前のアントワネットが訪れたゆかりの場所という。

マリー・アントワネットの霊を演じる梅若実=前島吉裕撮影

マリー・アントワネットの霊を演じる梅若実=前島吉裕撮影

脚本は、アントワネットを描いた宝塚歌劇団のヒット作品「ベルサイユのばら」を手掛けた植田紳爾(しんじ)。植田は「ベルばら」の準備のため、50年近く前に訪仏したとき、フランス人のアントワネット観が冷たいと感じたといい、「歴史的な研究が進み、王妃への見方も変わってきた。フランスの人にこそ見てほしい」と意気込む。

道ならぬ恋の相手、スウェーデン貴族フェルゼンが王妃をしのんで王宮を訪れると、アントワネットの霊が現れ自身の生涯を物語る。シテの王妃は伝統的な能装束に紅薔薇(ばら)の冠、ワキのフェルゼンは洋風のマント姿だ。「ベルばら」の劇中歌「青きドナウの岸辺」の旋律を三味線で奏で、宝塚の元トップスター北翔海莉(ほくしょう・かいり)らが間狂言を勤めるなど、古典的な能とは異なる演出が取り入れられている。2017年12月の東京での初演後、大阪と名古屋で再演。初の海外公演に向け、さらに脚本や演出に手を加えるという。

梅若実は海外での能の普及に力を入れており、15年には古代ギリシャの長編叙事詩を題材にした新作能「冥府行(めいふこう)~ネキア~」をギリシャで上演。「現地の人になじみのある作品は理解度が違った」と手応えを感じており、今作も海外向けのレパートリーとして位置づけている。

(小国由美子)

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