事故防止装置に補助・免許返納に特典 高齢運転者対策

2019/8/22 6:30
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事故現場付近で高齢ドライバーを乗せた車の実況見分をする警視庁(6月、東京都豊島区)

事故現場付近で高齢ドライバーを乗せた車の実況見分をする警視庁(6月、東京都豊島区)

高齢ドライバーが引き起こす交通事故の割合が高くなり、首都圏でも自治体や民間が事故防止の取り組みを強化している。ブレーキとアクセルの踏み間違いを防ぐ装置への補助金や、運転免許を自主返納した高齢者向けの特典の拡充などに力を入れる。高齢者が運転しやすい環境をどうつくるかを模索する動きも始まっている。

【関連記事】急発進防止装置、都が9割補助 高齢者事故で対策

東京都豊島区は70歳以上の高齢ドライバーの区民を対象に、車の急発進の防止装置(3万~10万円程度)をほぼ個人負担なしで導入できるようにする補助を始める。東京都が7月から装置の取り付け費用の9割(最大で10万円)を給付する事業を開始したことを踏まえ、区が独自で残り1割を上乗せ補助する形で実現させた。

豊島区内では4月に高齢ドライバーの車が時速100キロ近いスピードで横断歩道に突っ込み、12人が死傷した事故が起こった。区は2020年3月末時点で70歳以上になる区民を対象に、補助金を支給する。東京23区では初の取り組みという。

都に続いて、神奈川県横須賀市も防止装置の取り付け費用の補助金支出の検討を始めた。家族らが高齢者に運転免許を返納するよう説得するのが難しい場合、行政として何らかの対策が必要と判断したようだ。

免許の返納者への支援の動きも広がる。高島屋は横浜店(横浜市)などで、返納者に対し商品の配送料を無料にするサービスを実施している。東京都台東区は返納者に、コミュニティバスの乗車券や文化施設への無料入館券を配っている。

日常生活をする上で車が不可欠な地域もあり、高齢者から一律に運転免許を取り上げることには異論もある。免許返納により行動範囲が大幅に狭められ、社会的孤立や身体能力の減退という交通事故とは別の問題も起こりうる。

こうした事情を踏まえ、東京都医師会(千代田区、尾崎治夫会長)は、医師のほか専門家や心理学者らとともに高齢ドライバーの安全性を検証する委員会を近く立ち上げる。高齢者が安全に運転しやすい環境とは何かについて、医療以外の様々な視点から検討する。

警視庁によると、65歳以上の高齢ドライバーの都内の交通事故発生数は減少傾向にある一方、事故全体に占める高齢ドライバーの割合は上昇している。18年の都内の事故比率は18%で、違反別の要因は「安全不確認」が目立った。

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