日本郵便、二重徴収・無保険10万件 アフラック委託
日本郵便がアフラック生命保険の委託で販売するがん保険で、保険料を二重で徴収したり、契約者が一時的に無保険の状態になったりする事例が2018年5月~19年5月で少なくとも約10万件あったことがわかった。日本郵便は新旧の契約を円滑に切り替える制度を導入しておらず、いずれの事例も契約の乗り換え時に生じていた。
アフラックはがんと診断された後の保険料を免除する新商品を18年4月に売り出し、乗り換えが急増した。
アフラックのがん保険はがん患者の加入を防ぐため、契約後から3カ月は「免責期間」として保障を適用しない。乗り換え時に切れ目のない保障を受けたければ、新旧契約に二重払いするしかなく、避けたい人は一時的な無保険を強いられた。
アフラックは新旧契約に重複して加入している期間について旧契約の保険料を免除する制度を14年につくり、日本郵便を除く他の保険代理店はこの制度を導入している。ただ日本郵便はシステム上の問題などを理由に導入しておらず、乗り換え時に保険料の二重徴収か無保険が生じた。
日本郵便はかんぽ生命保険に委託された保険商品の不適切販売を受け、日本生命保険など他社の保険の営業を自粛している。ただアフラックは郵便局での販売が全体の4分の1を占める事情もあり、営業を続けている。円滑な乗り換え制度は10月から始めるが、現在は顧客の不利益につながる仕組みは残ったままだ。
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日本郵政グループ労働組合(JP労組)は21日、熊本市で全国大会を開き、かんぽ生命保険問題を受けた金融営業の見直しや手当の補填を協議した。増田光儀中央執行委員長は「組織構造やマネジメントの手法を抜本的に改革してこなかった経営陣の責任は極めて重い」と批判した。日本郵政の長門正貢社長は「社員、組合員に迷惑と心配をかけた」と陳謝した。