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玉塚元一氏「努力は不可能を可能に 経営でも」
ラグビーと私(5)デジタルハーツホールディングス社長

ラグビーW杯
2019/8/22 5:30
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「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングやローソンでトップを務め、2年前にIT関連企業の社長に転じた玉塚元一氏。常に挑戦し続ける精神はラグビーに植え付けられたと振り返る。

玉塚元一氏

玉塚元一氏

――慶大時代は全国大学選手権で準優勝した。

「高校時代に一流だった選手はいないが、最終的にはライバルの早大や明大に勝つ。それがチームの目標で、4年生の関東大学対抗戦は全勝優勝できた。大学選手権の決勝はノーサイド直前、スローフォワードの判定で同点トライが認められず、ミスターラグビーの平尾誠二さんらを擁する同志社大に惜敗した」

「最後は勝てなかったものの、努力すれば巨象をも倒せることを身をもって体験した。その後の私の人生の中で大きな自信になり、ラグビーには感謝している。慶大伝統の『地獄の山中湖合宿』を乗り越えられれば、社会人になっても大抵のことにはびくともしない。ラグビーは瞬間の現場判断で、1人が複数の役割をこなすマルチタスクで回る。今、求められる組織や経営に通じている」

――デジタルハーツホールディングスはゲームソフトのデバッグ(不具合を修正する作業)が主力事業だ。

「山口県にある年商700億円程度の怖いオーナー社長の会社(ファーストリテイリング)に飛び込むのも、事業再生会社(リヴァンプ)をゼロから立ち上げるのもリスクがあった。私がいつも考えるのは、挑戦するリスクよりしないリスクだ。門外漢のデジタル領域に飛び込み、会社の改革に没頭し、自分自身も学んでいる。惰性で過ごすのでなく、入社後、2年間はもがき続けた。価値のある時間だった」

慶大時代は大学選手権で準優勝。平尾誠二さん擁する同志社大に決勝で惜敗した(左から2人目が玉塚氏)

慶大時代は大学選手権で準優勝。平尾誠二さん擁する同志社大に決勝で惜敗した(左から2人目が玉塚氏)

――ローソンの会長退任の翌月、現職に転じた。迷いはなかったか。

「最初はすごく迷った。有り難いことに、流通など土地勘のある企業からも話をいただいたが、全く新しい領域でチャレンジしたい、という気持ちが私の心の中で勝った。『可能性のある社員に未来を見せられるのは自分じゃない。元さんしかいない』。創業者の宮沢栄一・現会長からそう訴えられた。実際に現場を見て回ると、大きなポテンシャルを秘めた会社だと感じた」

――業種の異なる企業で次々とトップを務めている。

「経営の本質は変わらない。今も師である柳井正さん(ファーストリテイリング会長兼社長)にたたき込まれた。専門性や知識を素早く吸収し、あらゆる人の話を多面的に聞く。一方で経営は第三者の客観的な目線も重要で、私が触媒になって大胆に会社を変えていく。もちろん難局に直面し、失敗もする。その際は冷静に状況を分析し、矢継ぎ早に解決策を打ち出して実行する。強い心とあきらめない精神はラグビーに培われた側面が大きい」

――当面の目標は。

「慶大ラグビー部には、かつて慶応義塾塾長を務めた小泉信三先生の『練習は不可能を可能にする』との言葉が根付いている。言い換えれば、努力は不可能を可能にするということだ。これは企業経営にも当てはまる。当社は『第二創業』を掲げる。ゲーム業界向けデバッグ事業を核にしながら、システムテストやセキュリティーサービスに領域を広げていきたい」

慶大伝統の「地獄の山中湖合宿」のおかげで大抵のことにはびくともしなくなった(中央が玉塚氏)

慶大伝統の「地獄の山中湖合宿」のおかげで大抵のことにはびくともしなくなった(中央が玉塚氏)

「『5G』時代が到来すれば、いろんなものがソフトとつながる。ゲームのソフトは複雑で、当社は年間7千~8千件のテストのプロジェクトを請け負っている。今後は自動運転や通信ネットワークなど、ゲームから始まったたくさんのテストや第三者検証の延長線上で、激しく非ゲーム領域に展開していく。3年から5年後、アジアナンバーワンの総合テストソリューションカンパニーになることが目標だ」

――W杯(ワールドカップ)への期待は。

「日本代表は確実に力を上げている。エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチがスーパーラグビーへの参入を推し進め、サンウルブズというプラットフォームができた賜物(たまもの)だろう。初戦のロシア戦がカギを握る。勝利で波に乗れれば期待は一段と膨らむ」

(聞き手は阿部将樹)

 たまつか・げんいち 85年(昭60年)慶大法卒、旭硝子入社。日本IBMを経て98年ファーストリテイリング入社、02年社長。05年に事業再生会社リヴァンプを設立し代表取締役。10年ローソン入社、14年社長、16年会長。17年6月から現職。

=おわり

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