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北大発のライラックファーマ、微少カプセル製造で新手法

北海道大学発の医療スタートアップ、ライラックファーマ(札幌市)は抗がん剤や化粧品などの薬剤を包む微小カプセル「リポソーム」の量産につながる製造技術を開発した。従来と比べて適切なサイズで製造しやすく、ピンポイントで狙った患部に効きやすくできる効果が見込める。大手化学メーカーの日本触媒も共同研究に乗り出した。

リポソームとは、脂質の二重膜でできた20~200ナノ(ナノは10億分の1)メートルほどの微細なカプセル。内部に化粧品素材や医薬品を包む。血液など水分の中では溶け出しにくいが、同じような成分でできている細胞に効きやすい特性がある。特定の患部に薬剤を集めやすいため、抗がん剤などに採用されている。

最近の研究によると、リポソームは30ナノメートル大きさが違うだけで、効き目が大きく変わってくることがわかった。狙った大きさのリポソームを製造する技術は不可欠だ。

カプセル製造には、微量の液体を「マイクロ流路」と呼ばれる仕組みの中に通して混ぜ合わせる「連続法」を使う。特定の容器内でかき交ぜる「バッチ法」に生産量は及ばないが、大きさを均一にそろえたカプセルを製造できるという。

小さく同じ大きさのカプセルを狙って作るため、同社のノウハウが生かせる。微量の液体が通る流路をジグザグに組み合わせたマイクロ流路を使い、流す液体の量の調整によって思い通りの大きさのカプセルを製造できるようになった。得意とする大きさの範囲も、他社と比べて広いという。

これまで大量生産には高価な装置が必要だったが、同社はマイクロ流路を取り付けたガラス板を大量に設置してコスト面の課題をクリア。ガラス板は手のひらに乗るほどのサイズで、大量設置した場合もそれほど場所を取らない。新たな製造手法を使って数年以内にリポソームを量産化するのが当面の目標だ。

同社は日本触媒と提携を結び、4月から共同開発を開始した。実用化のため、リポソームの大量生産に向けた開発を進めている。3年以内に合弁会社を設立し、リポソームを使った化粧品素材も開発する予定だ。今後は後発薬を得意とする製薬会社などへも売り込む。

ライラックファーマは北大から認定を受けた北大発スタートアップ。北大の研究成果を生かして、パーキンソン病の新薬開発などに取り組んでいたが、技術的な障壁が高くなかなか事業化に結びつかなかった。収益を上げられる事業を始めようと、医薬や化粧品分野で需要の高いリポソームの新しい製造方法の開発に取り組んできた。

同社は技術を活用した「総合研究開発企業」に脱皮する未来像を描く。ライセンス化した製品を製薬会社や化学メーカーに販売し、恒常的に収益を上げるビジネスモデルだ。須佐太樹社長は「徐々に海外にも進出したい」と話している。

(荒川信一)

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