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課外「会社経営」で時給80円 IT起業家の早大学院時代

倉富佑也・ココン社長(上)

倉富佑也・ココン社長

サイバーセキュリティー事業を核に、M&A(合併・買収)も駆使しながら急成長を続けるITベンチャーのココン(東京・渋谷)。早稲田大学を中退して同社を創業した倉富佑也社長(26)の出身高校は、ビジネス界に多くの逸材を輩出してきた早稲田大学高等学院(早大学院、東京・練馬)だ。中学生の時、すでに企業経営者になる夢を描いていたという倉富氏。早大学院を選んだのも、夢をかなえるにはベストの高校と考えたからだ。

(下)会社探してインターン活動も 自由な校風の早大学院 >>

自由な校風にひかれて入学した。

子どものころ、なぜ経営者になろうと思ったのか、実は自分でもよくわかりません。ただ、小さいころから生物の勉強が好きで、中学生の時には、時々、大学などが主催する子ども向けの実験の体験学習イベントに参加していました。そのイベントで使われた実験機器が1億円もすると聞いて、研究だけではなく経営的な視点も持つことで、自分のやりたいことに取り組みやすくなるのかもしれないと思ったりしていました。そんな原体験が積み重なって、経営者になりたいという気持ちが徐々に強まっていったのだと思います。

早大学院は、今は中高一貫ですが、私が入学した時は、中等部はできていませんでした。早大学院への進学は自分で学校見学をして決めました。早大学院は非常に自由な校風と聞いていたので最初から候補の一つでしたが、文化祭を見に行き、茶髪や耳にピアスをした生徒が楽しそうにしているのを見て、自由で、多様な価値観を尊重してくれる校風を感じ、第一志望に決めました。自由な校風のほうが、経営者になるために自分がやりたいことを、思う存分にやれると考えていたからです。

早大学院の入試は、当時は、3分の2が普通の筆記試験で、残り3分の1が自己推薦入試。自己推薦入試は、中学の内申点が一定レベル以上であることが応募の条件で、40分間の面談と、書面で提出した志望動機の中身で決まります。私はまず自己推薦入試に応募し、落ちたら一般入試を受けるつもりでしたが、自己推薦入試で合格しました。

面談では、将来は企業経営者になりたいと話しました。志望動機にもそう書きました。数年前、とっておいたコピーを読み返したら、確かに企業経営者になりたいと書いてあり、自分はやはりそのころから経営者になりたかったのだと、改めて確認しました。

経営者になるために空手部に入部した。

「課外授業では、破綻したビジネスをやるのは大変ということを、身をもって学んだ」と振り返る

描いていた自由な校風のイメージは、実際、その通りでした。校則はほとんどなし。アルバイトもオーケー。髪型や服装も自由。一応、制服として学ランがあるのですが、学ランを着てくるのは半分ぐらいで、残り半分は私服や体操着です。私は、私服をあまり持っておらず(笑)、3年間、学ランで通しました。

自由なのは校則面だけではありません。勉強や課外授業、学校行事、生徒会など、あらゆることが生徒の自主性に任されていて、かなり何でも自分たちで自由にできました。大学みたいな高校です。その代わり、自己責任も求められます。例えば、先生から勉強しろとは一切言われませんが、定期テストの点数が悪ければ、容赦なく留年させられます。1クラス約50人でしたが、だいたい1クラスに2、3人は留年組がいました。

早大学院は何か目標を持っている人にとってはとても面白い高校です。自由度が高く大学受験もないので、自分のやりたいことに注力できる。先生たちもクラスメートもそれを尊重し、応援してくれる。ただ、逆に目標がないと、3年間、漫然と過ごすはめになります。自分が何をしたいのかしっかりと模索していくことが求められる学校ではないかなと思います。

授業に関しては、卒業さえすれば全員、早稲田大学に入れるので、あくせく勉強するという雰囲気はありません。授業中、好き勝手なことをしていたり寝ていたりする生徒も結構います。ただ、定期テストの成績が悪いと、行きたい学部に行けないので、テストの直前、2週間ぐらいは、みんな結構真剣に勉強します。私もどちらかといえば、そういう試験前に詰め込むタイプでした。

早大学院は、生徒の自主性や自発性を伸ばすための課外活動が盛んです。私は、入学と同時に空手部に入りましたが、1年の時は、空手部以外に、スチューデント・カンパニー・プログラム(SCP)という課外活動にも参加していました。

SCPは、生徒が自分たちで模擬会社を立ち上げて、利益を出すことを目標に、1年間、実際に事業活動するという内容です。名前は変わりましたが、今も続いていると聞いています。現在、学院長をされている本杉秀穂先生が、当時の指導教員でした。

ちなみに、空手部に入部したのは、将来、企業経営者として長く活躍するには、まず体をしっかりと鍛えておくことが大切だと思ったからです。早大学院の空手部はそれほど強くありませんでしたが、練習はハードで毎日へとへとでした。特にきつかったのは、早稲田大学空手部との週1回の合同練習。早稲田大学の空手部は全国レベルでしたので、かなり鍛えられました。

課外授業でビジネスの仕組みを学んだ。

SCPで私たちが立ち上げたのは、フリーペーパーを発行する会社でした。高校生が喜んで買うような飲食品や日用雑貨を製造している会社に営業し、広告を取ってきます。その広告を載せたフリーペーパーを全国の高校に配布するという事業内容でした。私は営業の担当でしたが、これが結構大変でした。

企業にアポ取りの電話をかけても、なかなか相手にしてもらえない。アポ取りは、経費を正確に把握できるよう、テレホンカードを使って公衆電話からしました。それだけでも面倒なのに、公衆電話だと先方からのコールバックが難しく、こちらから何度もかけないといけません。それでも何とか広告を集め、3万部ぐらい刷って、全国各地の高校に郵送で配りました。最終的に数百万円の売り上げがありましたが、経費も相当かかったので利益はほとんどなく、私が最後にもらった報酬は数千円。時給を計算したら80円でした。

SCPはすごく貴重な経験でした。でも、ビジネスモデルとしては完全に破綻していました。私たちが上げた利益の10倍以上の利益を上げないと、ビジネスとしては成り立ちません。破綻したビジネスをやると非常に大変だということを、身をもって学びました。

(ライター 猪瀬聖)

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