ニラ日本一奪回狙う栃木県、出荷省力化機械開発へ
栃木県が生産拡大に向けニラ出荷作業用の機械を産学官で開発する。効率化により収穫量日本一の奪回をめざす。宇都宮大学などと協力し、収穫したニラの下葉処理を自動化する機械を今後3年で実用化させる考えだ。収穫量首位の座を高知県に奪われてから10年あまり。農業人口の減少などで生産性向上が急務となる中、新型機械にナンバーワン産地奪回を託す。

開発する「にら出荷調整機」は収穫後のニラから下葉の外側の部分「はかま」を取り除く。除去方法などを検討して2019年度中に試作機をつくり、21年度の実用化をめざす。

すでに民間企業から同様の機械は販売されているが、導入を進めるにはなるべく価格を下げる必要があると判断している。高知県などで使われている既存の出荷調整機は価格が約500万円だとして、より安価にする考えだ。
栃木県の調べでは、ニラの栽培から出荷にかかる作業時間のうち、5割以上が収穫後のはかまの除去や包装などに割かれている。生産増の障害になっている出荷作業を省力化して生産拡大に弾みを付ける。
栃木は06年にニラ収穫量首位の座を高知に奪われて以降、2位に甘んじている。17年産のニラの収穫量は2位の栃木が9970トンだが、首位の高知は1万5400トンと1.5倍だ。
作付面積では栃木が368ヘクタールと高知の249ヘクタールを上回っているが、1000平方メートルあたりの収穫量は栃木は2710キログラムと、高知(6180キログラム)の半分以下になっている。温暖な高知はニラが育ちやすく、1年に収穫できる回数が栃木よりも多いという。
「高い目標を掲げることで農家の所得向上につながる」(鈴木正人農政部長)と、品種改良などを通じ県をあげて首位奪回に取り組んでいる。ニラは根元を残して葉を切り取って出荷し、残った根元から生えた葉を再び出荷する。
県はこうして連続で収穫しても葉の幅が細くなりにくい新品種「ゆめみどり」を17年に品種登録し、冬でもハウス内を暖かく保ちやすい「ウオーターカーテン」を普及させて収量増に取り組んでいる。
ただ少子高齢化が進み作付面積も減る中で、収穫量を増やすには作業の省力化が欠かせない。産学官で開発する機械を首位奪回に向けた弾みとしたい考えだ。