2019年9月16日(月)

日経商品指数17種

(1970年平均=100)
9月13日 145.781 +0.252

[PR]

商品ニュース

パラジウム反落傾向 国際価格 車触媒向け需要減懸念

2019/8/19 18:49
保存
共有
印刷
その他

自動車の排ガス浄化触媒に使う貴金属パラジウムの国際価格が軟化し始めた。慢性的な供給不足と世界的な環境規制強化の流れで3年あまり値上がりし続けてきたが、米国による対中制裁関税「第4弾」の発動表明で景気が後退するとの観測が一段と強まった。中国やインドを中心に自動車販売は振るわず、相場は2カ月ぶり安値圏に下落した。市場の関心は需要減への懸念に移っている。

パラジウムやプラチナを使った自動車の排ガス浄化触媒(=ジョンソン・マッセイ提供)

パラジウムは主にガソリン車の触媒に使う。国際指標となるニューヨーク先物はこの3年で3倍に上昇。7月10日に1トロイオンス1588ドルの史上最高値をつけた。だが足元は1440ドル台と7月末から約5%下落している。

最大の要因は、米中対立激化に伴う市場心理の悪化だ。

米中摩擦が本格化した2018年秋以降でも、パラジウムは最高値を更新してきた。米国は触媒の大部分を自国やメキシコなどで生産し「貿易摩擦による需要の下押しは限定的」(英精錬大手ジョンソン・マッセイの藤田幹生シニアマーケットアナリスト)との見方が支配的だった。

鉱山からの供給量はこの5年ほぼ横ばいな一方、需要は世界的な排ガス規制対策の強化で増えてきた。ジョンソン・マッセイによると19年も25トンの供給不足と、8年連続の供給不足になるとの見通しだった。

こうした状況下で高値を追ってきたが、米中対立の激化でムードが変わった。世界の自動車触媒向けパラジウム需要の5割超を中国と米国を含めた北米が占める。2大需要国の対立で景気が後退し、需要を下押しするとの思惑が広がっている。

中国とインドでの自動車販売不振も重なった。中国汽車工業協会によると、中国の新車販売は7月に13カ月連続で前年割れ。インド自動車工業会の調べでは同国も7月まで9カ月連続の前年割れになった。

環境規制を巡っては、中国が20年7月に欧州の規制より厳しいとされる「国6」を導入する。インドも20年をメドに新規制の導入を進めている。

両国は23年にも一段と厳しい環境規制の導入を控える。車の多い広州や深圳、上海では先んじて今年7月から導入した。自動車メーカーは触媒用貴金属の使用量を増やして対応する見通しだ。先行きの需要増は見えているのに、足元の自動車販売の落ち込みが市場で強く意識されている。

実際、需給にわずかな緩みが出てきている。市場で品不足感が強まると、現物価格が先物価格に比べて割高になる傾向がある。年初までには現物価格が一時、先物価格を1トロイオンスあたり80ドル程度上回る局面もあったが、足元では同5ドル前後まで縮まっている。一時ほどの需給逼迫感がないことを示している。

同じ自動車排ガス浄化触媒の貴金属でも値動きは大きく異なる。ディーゼル車用に使うプラチナ(白金)は1トロイオンスあたり850ドル前後。2016年夏以降おおむね軟調に推移。足元は年初比で6%高いが上値が重い。

欧州での排ガス不正発覚でディーゼル車の需要がさえない。パラジウムとの代替にはなお割高で需要のシフトは少ない。

一方、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去するのに必要なロジウムはスポット(随時契約)価格が1トロイオンス3885ドル前後と年初比で6割高い。素材の代替がきかない上、鉱山からの生産量が極めて少ないためだ。

パラジウムとロジウムは白金の副産物として採れる。鉱山が両貴金属を一定量採ろうとすれば白金を多く採る必要があり、需給緩和のしわ寄せが白金に及びやすい。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップマーケットトップ

読まれたコラム

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。